百鬼一族 血脈の書

百鬼一族 血脈の書

当サイトは俺の屍を越えてゆけ リメイクのプレイ日記となります。

1021年12月 大江山

f:id:kalino_suke:20191204175459j:image

ターニングポイント

 

張り切って大江山越えしようと思います、12月です。先ずは先月の報告から

f:id:kalino_suke:20191204175516j:image

ギリギリなドッタンバッタン大騒ぎで何とか解放した虚空坊様。

貴方様の解放<朱ノ首輪ゲットのが目的の比重としては大きかっただなんて、絶対に言えないですね……
f:id:kalino_suke:20191204175512j:image

澄「ねえお父さん。今月朱点を倒したとしても、神様と交神出来るの?」

梔子「あ〜〜……朱点童子を倒す為に力を貸す目的で交神してくれる話だった覚えがあるし、倒したら出来ないんじゃね?」

澄「やっぱり?」

芹「まあ倒したら分かるんじゃないかな。樒様はどうお思いで?」

樒「前提さえ果たせばその時分かるだろう。だから今現在は、どうでもいいとしか思わない」

澄「しーちゃん相変わらずリアクションうすーい。もっと考えようよ!呪いを解いたらいっぱい時間があるんだよ、楽しみじゃないの?」

樒「ぬか喜びになる可能性もあるだろう。あまり期待するのは止めておけ」

澄「明るい未来があるって思った方がやる気が出るタイプなんですー!だからいいのっ」

梔子「そーだそーだー!」

樒「……」(呆れの視線)

 

恒春「あの馬鹿兄……」

芥子「……」

f:id:kalino_suke:20191204173320j:image

わかってるよイツ花、今月で蹴りを付けるつもりです

f:id:kalino_suke:20191204173918j:image

そう言えば、伽羅も恒春の訓練をしたことがありましたね。一世代経てまた当主と4ライン目が訓練を行ったんだなあ……(しみじみ)
f:id:kalino_suke:20191204173924j:image

上がり幅めっちゃ良くね?

功徳の拳を装備していたから心の上がりがいいのは分かりますが……体は何事?技は樒が技火が良いのもあってそこだけ凄く上がってる……

もしかして二人はウマが合うとか?あまり喋らない樒に対して、臆せず話しかけに行くソテッちゃんの図が思い浮かびます
f:id:kalino_suke:20191204173911j:image

樒が元服だと??君もうそんな歳になっていたの?時の流れは早いですね……
f:id:kalino_suke:20191204173310j:image

続いて術報告〜
f:id:kalino_suke:20191204173946j:image

樒と芹さん以外みんな術を習得したご様子。前回色々と巻物も手に入れたからな〜

f:id:kalino_suke:20191204174004j:image

投資が目に見えて形になったみたいです
f:id:kalino_suke:20191204173915j:image

樒「……ミイちゃん?」

澄「ミイちゃん」

芹「ミイちゃん……」

ソテツ「ミイちゃんか!」

f:id:kalino_suke:20191204173711j:image

謎のミイちゃん四段活用をして目を見合わせた第四世代。全員頭に疑問符を浮かべ……あ、ソテッちゃんは何も思ってなさそうですね

f:id:kalino_suke:20191204173737j:image

もちろん健康度チェックからですよ
f:id:kalino_suke:20191204173856j:image

分かっていたけど下がってますね。今月が最後かー…

f:id:kalino_suke:20191204173330j:image

お薬飲んで、今月は好きに過ごしてね梔子……
f:id:kalino_suke:20191204173809j:image

回復画面を取り忘れたのでこちらで確認を。

梔子本当に良くなる気あんまり無いな!!7しか回復してないんだけど??

 

それと前回載せていない戦闘でよく進言無視をしたせいか、梔子の忠心77に。RP思考の自分としては茶器を上げたいと思いましたが、でも今月居なくなるからなと効率思考の私が囁いた為に放置することを決めました←

しかしプレイヤーの判断は、ゲーム内では樒がしたことになる訳で。

 

彼等に当て嵌めてどうして樒がそうしたのか考えてみた結果、樒は昔よりは情緒を理解している子なので、多分上げようとしたと思うんです。当主なのに梔子が弱っていることに気付かなかった、負担を敷いてしまったと謝罪をして茶器を渡そうと。でも梔子は好きにしただけでそんなこと求めていないから受け取りを拒否し、逆に忠心を下げてしまったのではと思ったりなんやり……

自分の悪い癖ですが、妄想し出すと止まらないのでここまでにして次に行こうと思います。ただでさえ今回はスクショ多くて長くなりそうなんで!!切り替えです!

f:id:kalino_suke:20191204173955j:image

これは地味に梔子の次に忠心が下がっている芹さんの図。何かなー芹さんは樒を計ってそうなんだよなー

私の中で芹さんは、自己肯定感マシマシ親へのリスペクト天元突破でも一番はやっぱり自分……みたいな人になっているというか、言葉にし難いというか……

小話【https://kalino-suke.hatenablog.com/entry/2019/09/17/181626】でもしていた通り、芹さんは自分が尊ぶに値する存在かどうか常に目を光らせてそうで……駄目だ、百鬼芹が分からない←
f:id:kalino_suke:20191204173714j:image

まあ動かしていけば分かるでしょうし、彼への考察は打ち止めしてソテッちゃんの訓練のターンにいきましょう

年長者が訓練した方が成功率が高いですので、指導は梔子にして貰います。恒春ソテツで親子訓練にしようか迷いましたが、やはりプレイヤーとしては成功率が高い方が嬉しいんですよ……彼等の間でどうして梔子が指導に当たったかの解釈は、小話を考える時の自分がいい感じに調理してくれると思います。未来の自分に投げる
f:id:kalino_suke:20191204173335j:image

せっかく何で、決戦前に思い出として写真を撮ることにしました。

記念撮影ってやつです。写真を撮ろうと言い出しっぺそうな澄ちゃんのチョイスで、フレームは可愛いお花さんに。

一部男性陣が微妙な顔をしてそうですねww
f:id:kalino_suke:20191204173419j:image

撮った物がこちら。何と言いうか……人多いな!!

現在百鬼家は八人家族、中々の大所帯なのを視認するとなお実感します。五流だからだろうな〜

f:id:kalino_suke:20191204173558j:image

穏便な日常フェイスはここまでにして……

今回朱点童子討伐する隊のメンバーを紹介しようかと思います。

奥義とぴたりと噛み合った火の属性武器で敵を薙ぎ払う担当の樒、

前線で防御も攻撃も回復もなんでもござれ、皆を守る盾の山茶花

唯一の遠距離攻撃役にして水神を親に持つことで、もしもの時の最大の回復が出来る澄、

まさかの初陣で大ボス戦、全てが未知数だけど壊し屋の腕力で天狗大将にしっかりトドメを刺す係は任せた、芹。

この四人で行きたいと思います!!

 

恒春と芹で最後の一人は悩んだのですが、恒春と芹の職業的位置と二人のキャラ性を鑑みて、悩んだ末に芹を投入することに決めました。

芹は壊し屋、恒春は槍使い。今回は先月と同じで、時登りの笛チャレンジをする予定です。壊し屋は外れる可能性も高いですが、当たった時の威力は槍使いよりも大きい。安定を取るなら恒春だけれど……自分のギャンブル性が芹を入れたいと囁いてしまってな……

それに二人の性格からして、今の恒春なら自分よりも代を重ねていて素質の高い芹に、すんなりと最後の席を譲りそうだとおもったんですよね。そして芹の性格からして、出来るだけ樒の行動の行方を近くで見定めたいと考えていそうだとも思いまして。そこを考慮した結果でもあります。

f:id:kalino_suke:20191204173908j:image

そういう訳で、いざ行かん大江山

朱点童子!お前が呪った子供の子孫が死を連れてやっていくぞ!

なんなら四代目は三代目の一部を身に付けてやってくっぞ!
f:id:kalino_suke:20191204173819j:image

あ、黄川人君。先月会った山茶花は以外は初対面ですね。

意気込んで大江山に行ったら、開幕はシュンとした天界の使いが現れたのだった……
f:id:kalino_suke:20191204173524j:image

素直な澄ちゃんはこの話を聞いて義憤を覚えそう……“私達が倒す!そうしたら黄川人もきっと元に戻れるよ!”って、純粋に励ましてるんだろうなあ……

残りの3人は、澄ちゃんと違うことを絶対に考えてる。今なら100ペリカ賭けていい
f:id:kalino_suke:20191204173416j:image

樒「……」

f:id:kalino_suke:20191204173455j:image

各々の簡潔にまとめた黄川人への所感は恐らくこんな感じ

樒→発言の意図を知りたい、同情はしていない

山茶花→事実なら哀れみを覚える、でも本当かどうか疑っている

澄→なおのこと朱点を倒して呪いを解かなくちゃと意気込む

芹→可哀想だね()、それより雪山でこの戦装束は寒い、凄く寒い

f:id:kalino_suke:20191204173749j:image

三者三様ならぬ四者四様の討伐隊。芹さんに至っては性格や初陣故のひ弱さから黄川人より大江山の寒さが気になってる様子……壊し屋の衣装ってほぼ裸ですからね。しょうがないね

 

先月赤い火だったせいか、残念ながら赤い火は無し。此処からは時登りの笛狩りターンまではきびきび進めていきます
f:id:kalino_suke:20191204173554j:image
f:id:kalino_suke:20191204173607j:image
f:id:kalino_suke:20191204173404j:image

天狗のいる地点までに、樒と芹さんがレベルアップ!

樒は火の申し子なだけあって相変わらず火の上がりがよいですね。芹さんは初代産のせいか技火が……初っ端から技火がお亡くなりなってる…。

芹さん心の上がりは火以外はどっこいどっこいの上がり方。血の気が多いタイプでは無いんだろうな〜芹さん

狐次郎様のお子だからか、土の上がりが全体的に良いですね!

f:id:kalino_suke:20191204173756j:image

樒達は初めまして、山茶花のみが二度目ましての石碑。

いったい誰が建てたんでしょうね、いやほんとに(俺屍プレイn週目の感想)

これを読んだ四人はシリアスな心境になっているのかも知れませんね。じっとまだ見て、触って、調べて、何故こんな石碑があるのか等探りたいことが有るのかも知れない……
f:id:kalino_suke:20191204173802j:image

でも私は時登りの笛狩りをしたいんだ。天狗狩りじゃい!!!!!!!!

ダッシュした甲斐あって残り炎はまだまだ有ります。時間の許す限り笛狩りすっぞ!!!!!!
f:id:kalino_suke:20191204173511j:image

時間を気にして焦りそうになりますが、まずは冷静に下準備を

樒達4人は誰も陽炎を覚えていないので、代わりにみどろで天狗の動きを遅らせます。笛を持っている天狗はモーションが早いらしいと聞いたので、これで見極めが楽になる筈です
f:id:kalino_suke:20191204173541j:image

笛じゃなかったけど術持ちとぶつかりました。

天狗狩り隊!!!準備はいいか!!!!術を奪うぞ!!!!!(もはや蛮族)(あと鬼の名前が天狗じゃないことは分かってる)(しかし変換するのが怠い)
f:id:kalino_suke:20191204173630j:image

敵を逃したく無い場合今の百鬼一族なら併せをするのが良い。プレイヤーこの間身を持って体感した

初手の山茶花を起点に雷電
f:id:kalino_suke:20191204173933j:image

初陣でまだ雷電を覚えていない芹さんは防御、後の二人も雷電に続きます!
f:id:kalino_suke:20191204173905j:image

ファイアーならぬ3人サンダー……相手は死ぬ

f:id:kalino_suke:20191204173726j:image

牛頭丸ゲットです!そして芹さんレベルアップ!

なんか芹さんの心水の上がりは、別に水が高いからって優しさが深まっている様に思えないんですよね。……己への慈悲の心が深まってるのかな??

私は彼をなんだと思っているんだ
f:id:kalino_suke:20191204173958j:image

Q、芹さんどうして急に心火の上がりが良くなったの?

A、私にも分からない

特に代わり映えの無い天狗狩りをしていたら、突如心火の上がりがよくなる芹さんの図。本当に君が分からないよ芹さん……

でも相変わらず技火の上がり様は安定してるね。変わらない所もあって安心す……いや安心出来ないってこの上がり様
f:id:kalino_suke:20191204173846j:image

山茶花ねーさんに鏡を向ける澄ちゃんは可愛い(可愛い)

素直に慕ってる姿が想像出来ます
f:id:kalino_suke:20191204173617j:image

f:id:kalino_suke:20191204174142j:image

時登りの笛は未だ落ちず……もう何回戦ったかな(遠い目)

戦った分だけ澄ちゃんと芹さんが成長。芹さんは土が伸びる伸びる、もっともっと硬くなっておくれ……

澄ちゃんもまだまだ幼いので伸びが良い!優しさに満ち溢れた心水ですね

f:id:kalino_suke:20191204173927j:image

来た!!!!!!!!!!!!
f:id:kalino_suke:20191204173659j:image

絶対に逃して堪るか。奥義で即killしてやる….!!!!!樒の攻撃力なら奥義で一発KO可能な筈!!!!!

(併せをした方が確実性が高い)(なのにもう頭から抜け落とした人の発言)

f:id:kalino_suke:20191204173859j:image

頼みましたよ樒パイセン!!!!!!!!!!
f:id:kalino_suke:20191204173649j:image

流石は樒パイセン。奥義に持ち前の火力を合わせることで、見事天狗を一撃死させました。時登りの笛とったどー!!
f:id:kalino_suke:20191204173720j:image
f:id:kalino_suke:20191204173351j:image

初陣の筈なのに技火の伸び方可笑しくない??あと芹さんもしかして技土も死んだ???

なんと言うか芹さんからは、こちらの思う通りになる気はないと言う意志を感じてしまう……僕は僕の好きな様にするよ、良いでしょう?みたいな……

 

樒の方は地味に心水の上がりが良いのが嬉しいです。彼実は心の素質では水がワースト一位なんですよ。もしかして後年には心水がどれかを抜く可能性がある……?
f:id:kalino_suke:20191204173645j:image

炎がラスト一つになっても、時登りの笛は一つしか手に入れることは出来ませんでした。たった一つしか無いのは正直心許ないので、悩みましたが、この笛を使って巻き戻し更に笛を手に入れる賭けに出ることを決意。

基本ギャンブル気質なのでその、ちょっと……賭けに出たくなっちゃって……
f:id:kalino_suke:20191204173326j:image

戦勝点が多く欲しい時以外は基本しっかりですが、ここはモードをどっぷりに変更です。何としてでも笛を手に入れるぞ……!!!f:id:kalino_suke:20191204173949j:image

焦り過ぎてスクショし忘れましたがこちらの編成、なんと時登りの笛を2つお持ちなんですよ。これは狩らねばならん
f:id:kalino_suke:20191204173548j:image

芹「樒様頑張ってください、応援してますよ〜」

澄「しーちゃん絶対倒さないと承知しないからねー!」

 

まだ幼いせいで敏速がそこまで育っていないせいですが、芹さんにほぼ手番が回らずに戦闘が終了する件。多分この瞬間も芹は端の方で樒の応援団扇を振ってそう……

澄ちゃんはつられて樒をやいやい言ってそうですね、なおこの時樒さんは天狗大将を打ち漏らしました。どんまいだよ樒!

f:id:kalino_suke:20191204173828j:image

山茶花「後は私に任せて!」

弟のフォローはお姉さんにお任せ。天狗を葬りました!
f:id:kalino_suke:20191204173410j:image

時登りの笛2つとったどー!無けなしの1個を使って良かった……倍になった……!!

 

なんて感動していたら、まさかの
f:id:kalino_suke:20191204173833j:image

f:id:kalino_suke:20200112171350p:image

樒に鏡を向けた……だと……!?

 

樒8ヶ月、澄ちゃん6ヶ月にしての初の樒への鏡進言ですよ……

大江山に来たことで自分達の命運が掛かっている自覚が出てプライドよりも強さを取った?それとも奥義を連発する姿を見て、意地張るよりも利用してやる方が自分が強くなれると思った……?

 

うーん………………澄ちゃんなら後者かな?

樒に対抗意識を彼女は持っていますが、元々澄ちゃんは素直で強くなることは嫌いじゃない子です。この進言以降、澄ちゃんは樒に向けることが多くなりました。成長したね……ウッf:id:kalino_suke:20191204174024j:image

朱点童子に挑む時に赤い火が最後にくると、こんなにも勿体無い気持ちになるんだなと思って撮ったスクショ

せめて一つ前で来て欲しかった……!!!
f:id:kalino_suke:20191204173623j:image

奉納点を沢山得る為にモードをあっさりに変更して、陣形を変更したら出陣です
f:id:kalino_suke:20191204173441j:image

f:id:kalino_suke:20191204173452j:image

正直山茶花よりも樒と澄ちゃんの方が防御力が高いですが、山茶花は皆を守る盾であることにアイデンティティを持っていそうですし、何より次世代三人には攻撃と補助に専念して欲しかったのでこれで行きます

 

今回は前で山茶花が守り、芹さんと澄ちゃんが樒にバフをかけ、樒が奥義で決める。もし出来たら鏡で写して澄ちゃんも攻撃して貰う予定です
f:id:kalino_suke:20191204173843j:image

陣形も作戦も決まった、後は倒すだけ!!f:id:kalino_suke:20191204174020j:image

樒「……初代の両親か」
f:id:kalino_suke:20191204173348j:imagef:id:kalino_suke:20191204173449j:image

澄「あいつら……?」

山茶花「……」

f:id:kalino_suke:20191204173656j:image

樒「その台詞、そっくりそのままお前に返す」

芹「ふふ、確かに。以下同文、としかいえませんね」

澄「そーいうこと!お前を倒して私達が生きるんだから!!」

山茶花「うん、だからごめんなさい朱点童子。貴方を殺します」


f:id:kalino_suke:20191204173604j:image

決戦の火蓋は落とされました。スロットは茶碗2つとお金。養老水は無いのか……残念
f:id:kalino_suke:20191204174001j:image

まずはバフを積んで場を整えます。

樒は自分に萌子!
f:id:kalino_suke:20191204173753j:image

この中で一番ボス戦歴が多いからか、山茶花の進言が多岐に渡ってて戦慣れしてる感が有りますね……攻撃術搦手と……

ですが今回は作成通り、防御に専念して貰います
f:id:kalino_suke:20191204173357j:image

三番手は澄ちゃん。その謎の地鳴りはいったい??最終決戦だから緊張してから回ってるとか……?
f:id:kalino_suke:20191204173446j:image

一先ず作成通り萌子!お願いします。澄ちゃんも萌子!
f:id:kalino_suke:20191204173521j:image

ここで朱点童子の尻が山茶花に!!汚いケツはノーサンキューだよ!!!

防御していたおかげで、ダメージは112。これくらいならまだ耐えれますね……山茶花は防御に専念して貰って大丈夫だな
f:id:kalino_suke:20191204173338j:image

最後に芹さんに回ってきました。いや……うん、初陣だから出来ることは限られているのは分かる。分かるけど芹さんもっと自己主張してええんやで……?

何か芹さんは三人程必死になって倒そうとしている様に見えないんだよな〜
f:id:kalino_suke:20191204173620j:image

そんな個人的感想は今は置いておきましょう。芹さんも樒にバフを!彼はまだ萌子を覚えていないので武人です!
f:id:kalino_suke:20191204173434j:image

あーお客さま困ります後ろの方に攻撃はやm、お、お客さまーーーーーー!!!!

樒に約100のダメージが……それ位で良かった……(安堵)
f:id:kalino_suke:20191204173255j:image

へいへいよくもやってくれたなお客さま、いや朱点童子!!!お前には斬撃がお似合いだからくれてやる!!!
f:id:kalino_suke:20191204174027j:image

(肝心なダメージを撮り損ねる)(確か400程度)(この後も奥義のダメージスクショをほぼ撮り損ねてます)(スクショ下手芸人)
f:id:kalino_suke:20191204173431j:image

約400ダメージが入ったということは、朱点童子のHPは1600なのであと3、4回攻撃すれば良いということ(※円子されない前提での計算)

ここからは澄ちゃんも攻撃手に回って貰いましょう

f:id:kalino_suke:20191204173735j:image

樒に鏡!

これで萌子×2、武人×1分の力が澄ちゃんも持ち得ました!次ターン頼むよ!
f:id:kalino_suke:20191204173537j:image

山茶花ナイス!!

朱点の攻撃を山茶花が引き受けました。今回は60程のダメージです
f:id:kalino_suke:20191204173835j:image

芹さんのこの‘ 防御以外なら強い符術を出しておけばいいでしょう? ’みたいな、自分のペースで進言してくる姿が何故だかほっこりします。緊張感ある舞台でも自分を貫く姿は素敵やで……
f:id:kalino_suke:20191204174007j:image

そろそろ山茶花の防御が終わってターンが回りそうなので、芹さんには山茶花の回復をお願いします。泉源氏しか彼は使え無いので、代わりに常盤ノ秘薬を……

 

撮り損ねましたが次手が山茶花でした。彼女には再び防御して貰います。君が皆の守り神だよ……
f:id:kalino_suke:20191204173313j:image

樒のターン

もう兎に角樒には奥義をバンバン放って貰います。コスパの良い双光樒斬だから出来ることですね
f:id:kalino_suke:20191204173823j:image

よし良いダメージ!あと600!!f:id:kalino_suke:20191204173943j:image

地味に澄ちゃんの進言に出てくる術を威力が上がっている様な……気のせい?

澄ちゃんも朱点に攻撃!
f:id:kalino_suke:20191204173816j:image

OKOK!あと約300……f:id:kalino_suke:20191204173601j:image

ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙朱点童子ァア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!

420程回復されました……許さん……許さんぞ朱点童子……!!!f:id:kalino_suke:20191204173703j:image

やってしまえ樒!!三積みした今の樒なら殺れる!!
f:id:kalino_suke:20191204173303j:image

回避……!?やるな朱点童子、お前も死にたくないんだな……だからこれを受けたら死ぬと思い必死に回避したのでしょう……

f:id:kalino_suke:20191204173741j:image

澄「しーちゃん何やってるのもう!」

樒「悪い、カバー助かる」

 

樒のミスを澄ちゃんが即座にフォロー。この二人会話はデッドボールになることはありますが、息はぴったりそう

 

今回尽く山茶花の防御するシーンのスクショをし忘れているんですよね、すみません……

ここで山茶花が防御しました
f:id:kalino_suke:20191204173323j:image

芹「援護はお任せを」

山茶花「守りは任せて!」
f:id:kalino_suke:20191204173534j:image

更に武人を掛けて樒の攻撃力を上げる芹さん、

守りを徹底する山茶花……

この4人自分が今するべきことをきちんと理解して真っ当してるな……凄い(小並感)
f:id:kalino_suke:20191204173530j:image

またしても朱点童子山茶花に……!

ほぼ攻撃は山茶花が受けてる……本当に皆を守ってますよね。ゲームだと分かっているけど、山茶花が三人に攻撃される前に庇って守っている様に思えてしまいます。こう思わせる俺屍ってやっぱり良い……
f:id:kalino_suke:20191204173438j:image

バフは十分!相手は満身創痍!百鬼の辞書に二度目の奇跡は無い!つまり朱点、お前はもう躱せる奇跡は起きない!覚悟は良いか!!

f:id:kalino_suke:20191204173401j:image

670!!オーバーキル!!!
f:id:kalino_suke:20191204173413j:image
f:id:kalino_suke:20191204173732j:imagef:id:kalino_suke:20191204174017j:image

朱点童子撃破です!!!

 

……これで呪いは消える、全て終わった。感慨深い心情を、誰しもが少しは抱いたことでしょう
f:id:kalino_suke:20191204173716j:image

だけど、終わりではなかった
f:id:kalino_suke:20191204173930j:image

帰りましょう、家で皆が待っています
f:id:kalino_suke:20191204173341j:image

奥義を何度も放ったので、樒が黄色ゲージに。

絶対今お通夜モードだよ……
f:id:kalino_suke:20191204173744j:image

嫌だすごく帰りたくない…………帰ったら……帰ったら……
f:id:kalino_suke:20191204173653j:imagef:id:kalino_suke:20191204173839j:image

ああこれを見たく無いから帰りたくなかったんだよ〜〜〜!!!!;;;;
f:id:kalino_suke:20191204173422j:image

どういう気持ちでこの死を樒達は受け止めないといけないの?

特に澄ちゃん大丈夫?闇堕ちしても可笑しくなくない???
f:id:kalino_suke:20191204173952j:image

まだプレイ記事を初めて無かった頃の記録ですね、梔子は訓練は二月とも母である海蘭(うんらん)に師事を受けました。

初陣は白骨城、初っ端から中ボス戦してたんだなー……懐かしいです

f:id:kalino_suke:20191204173708j:image

梔子は推しグラである16番君なのもあって沼がかなり深くて……しかもバディものが性癖である私としては伽羅と相棒やってたりして、もう気付けばずぶずぶと深みにハマっていましたよ……恐ろしい……
f:id:kalino_suke:20191204173509j:image

第三世代の賑やかし担当な長子ズがついに2人共居なくなるのか……悲しみがヤバいです。

梔子は本当に本能で生きている男でした。自分はこうしたい、自分はこうしたら楽しい、だからする。考えてから実行する迄に戸惑いが無いタイプだったと思います。だから伽羅が悩んでいた時【https://kalino-suke.hatenablog.com/entry/2019/05/14/195101】も、直ぐに山茶花と二人で手を差し出して引くことが出来たんです
f:id:kalino_suke:20191204173251j:image

ここで漸く第三世代登場完了ですね。梔子はと言うより、この世代は本当に皆仲良しだったよな……

芥子や恒春がよく梔子達に振り回されていましたが、それでも笑いが耐えない家だったと思います

f:id:kalino_suke:20191204173544j:image

ここで百鬼家初の中ボス撃破ですね、別名第一次梔子隊討伐戦とも言います。

既に樒が産まれていて伽羅は訓練に専念しなくてはいけなくて、そんな時に頼りになる代わりに隊長を任せられる男が梔子だったんですよ……本当にもう梔子は木霊ノ弓と相性が良かったおかげもあって強くて。凄く安心して任せれたことをよく覚えています

f:id:kalino_suke:20191204173551j:image

ここは伽羅最期の出陣と澄ちゃんの初陣戦ですね。

あの時伽羅はもう健康度が減少していて、更に初陣の樒も居たから本当に大丈夫かなと不安だったんです。私は合理的かどうかよりも、そのキャラならどうするかを優先してプレイしてる節がありまして。この時は正に梔子達ならこうするだろう、を押し通した瞬間でした。

今なら言えるけど本当に全員無事に帰ってきて良かったよ……

f:id:kalino_suke:20191204173527j:image

梔子は正直言って、何を考えているのか本当に分からない子でした。だから小話で梔子視点を書けるようになるまで時間が掛かりました。

自分のしたい様に生きてる子だとゲームの進言やレベルアップ時のステータスで解釈したのですが、本当に梔子が分からなくて。

なんて言ったら良いんでしょうか、梔子は数式は簡単なのに応えが突拍子も無い見たいな人と言うか……色々彼について考察しては迷走しましたが、結果として今は梔子のことをこう思っています

f:id:kalino_suke:20191204173937j:image

自分第一だけど、自分が第一に優先しているのは自分だけじゃない。刹那主義だけど結構尽くす人。

こうだと結論付けることが出来たのは、この遺言を聞いたからです

f:id:kalino_suke:20191204173641j:image

周囲の人が好きだから、忘れられたら寂しい。

皆が好きだから、皆が楽しかったら自分も楽しい。

梔子はかなり家族大好きで、だから忘れられたく無かったんじゃないかと思います。悲しんでる顔より笑った顔を見ていたい、そっちのが絶対に良い。根底にはそんな思いがあったのでは無いかと、私は考えています。

梔子は使命や先祖代々の思い等は自分が考えることじゃないと投げていそうでしたが、今を生きる家族が笑っていてくれるなら、その為なら何だってやってやれる人だったと思います。

f:id:kalino_suke:20191204173514j:image

ありがとう、さようなら梔子……

f:id:kalino_suke:20200127231859p:plain

向こうでもお元気で
f:id:kalino_suke:20191204173306j:image

…………あ、はい。

イツ花さんのテンション変化本当に凄いですね??(小並感)
f:id:kalino_suke:20191204173747j:image

樒「……」
f:id:kalino_suke:20191204173627j:image
f:id:kalino_suke:20191204173805j:image

芹「へえ、凄い」
f:id:kalino_suke:20191204173425j:image

絶対場の空気が凍り付いていそうなのにイツ花さんマジで凄いですね……
f:id:kalino_suke:20191204173849j:image

イツ花気付いて、周りを見て。鬼の形相になっている人が何人か居ると思いますよ?
f:id:kalino_suke:20191204173940j:image

樒「最高神から?」
f:id:kalino_suke:20191204173458j:image

恒春「うっっっわー有難いお言葉だー」(棒読み)
f:id:kalino_suke:20191204173853j:image
f:id:kalino_suke:20191204173902j:image

奉納点は嬉しい、でも素直に喜べない……

 

これにて百鬼家大江山越えは終了です。次回は短い小話何本か連投する予定です〜

1021年 11月 大江山

f:id:kalino_suke:20191128215837p:image

 

f:id:kalino_suke:20191106133409j:image

ついにこの季節がやってきました、百鬼家大江山突入月間です。

一月分実機を動かしたら記事を書く、と言うスタイルをとっているので、書いている今の私自身本当に年内で解けるのかドキドキしております
f:id:kalino_suke:20191106133014j:image

まずは親子訓練の結果から見ていきましょう。芥子の訓練結果は……!?
f:id:kalino_suke:20191106133321j:image

でん。やはり初代遺伝子のせいか技火と技土が……いやいや、でもそれ以外はそこそこ良いのでは?

大成功、では無さそうですが失敗でも無いみたい。親子で頑張って取り組んだのかな〜
f:id:kalino_suke:20191106132923j:image

芹さんがついに部隊入り。でもごめんね芹さん、今月の出撃メンバーは既に決めているんだ….
f:id:kalino_suke:20191106133505j:image

恒春と春菜さんのお子が遂に百鬼家に!

一体どんな子でしょうか?
f:id:kalino_suke:20191106132812j:image

喜びます!
f:id:kalino_suke:20191106133101j:image

恒春似!と言うことは生意気そうな顔をしているのか!?(恒春を生意気系末っ子気質少年だと認識しているプレイヤー)
f:id:kalino_suke:20191106133328j:image

ツノが生えてる!!!これは春菜様要素な木の枝だなきっと!!!そう解釈します

素質も見てみましょう!
f:id:kalino_suke:20191106132926j:image

心風目立つな……この風は祖母の鈴女様由来の筈。特徴がバカ笑いで高い心風と心土を持っているのを見るに、我の強い自由人とか?何があっても大笑いして吹き飛ばすみたいな。あと両親を親父殿御袋殿って呼んでそうな顔してません??

春菜様の元でのびのびと育ったから、バカ笑いと呼ばれる様な笑い方をするほど感情表現豊かな子となったのでしょう……だからイツ花は、顔のパーツは似てるけど表情が全然似ていないから“どちらかと言うと”父似と言ったのかなー

 

見た感じ初代の遺伝子は表に出てない….?途中から遺伝子分析を始めたせいで、ハッキリと言い切れないから怖いですね。恒春から技火が初代産の物が遺伝子したのを交神画面で確認出来ているので、この子の技火もそうかも知れないし、次世代で出てくるかも知れないのが恐ろしい……

 

職業選択画面を取り忘れたので、文章で失礼を。

彼には当家初の拳法家になって貰いました!色々と決めた理由はあるのですが、一番の決めては衣装がめちゃくちゃ似合いそうだなと思いまして……フィーリングって大事ですよね
f:id:kalino_suke:20191106133503j:image

名前はソテツにしました。漢字で書くと蘇鉄になりますが、角張った感じに思えて彼に似合いそうにないと思いまして。当家初のカタカナ名です……来て早々当家初を二つも掻っ攫ったなこの子!?

ソテツとはあれです、小中高学校によく植えられている太いヤシの木みたいな奴です。

あだ名を付けることに定評のある澄ちゃんはソテツをなんて呼ぶんだろう………………ソテッちゃん??うん、ソテッちゃんだ(確信)

 

恒春「同世代の命名理由が個性的だから、調和を取れるような子になって欲しくてさ。どっしりと構えて聳え立つソテツって名前にしてみた、けど……」

ソテツ「おやじ殿ー!!おやじ殿もきてくれ、ここからの眺めはよいぞ!」(木の高いところから

「ソテッちゃん、危ないからあんまり乗り出したら駄目だよー?」(同じく木の上から

「二人共元気良いなあ、樒様も如何ですか?」(登ってる二人の木の真下で見学してる

「俺はいい」(以下同文

恒春「…………うん、元気に育ってくれそうだからいっか….」

山茶花「兄さま遠い目になってるよ?」

恒春「はははヤダなソンナコトナイカラ」

f:id:kalino_suke:20191106132824j:image

お、春菜様おめでとうございます。貴方の交神相手と息子もきっと喜んでますよ
f:id:kalino_suke:20191106133508j:image

続いて術報告〜
f:id:kalino_suke:20191106133032j:image

全員覚えた様子〜。あれ、前回何か術取ってきたっけ

(見返して見たらお地母を取っていました)
f:id:kalino_suke:20191106133500j:image

はーい
f:id:kalino_suke:20191106133514j:image

奉納点が下がるのは有り難い。自分でやり出しておいて何ですが、五流は奉納点管理が大変なんで……
f:id:kalino_suke:20191106132850j:image

イツ花、何をするかなんて決まっているよ。恒例の梔子チェックからいきます
f:id:kalino_suke:20191106133448j:image

人が増えたのを有り有りと認識したところで、
f:id:kalino_suke:20191106132816j:image

遂にきてしまったか….

梔子が死ぬことを認めたくない.…というか梔子さん、一族男子の健康度は二段階掛けて低下しますよね?

今月は十一月。二段階低下だと十二月にその.…あれなんですか….?もし来月大江山越えが出来たとして、その後に貴方の死を見届けないといけないの.…??マジで……???え、そんな、そんな、えっ.…?
f:id:kalino_suke:20191106132944j:image

一旦落ち着くためにソテッちゃんの訓練を樒に任せました。お店で功徳の拳(福効果:装備者の心の増加+1~4)を売っていたので、購入して身に付けさせます。

ソテッちゃんやお家のことは君に任せたよ….
f:id:kalino_suke:20191106133049j:image

漢方薬屋に行って梔子に千金人参を処方。今月は大江山行くんだ、出来る限り回復して欲しい….!
f:id:kalino_suke:20191106133105j:image

何で最低値+1しか回復してないんだよ

さては梔子、良くなる気がない……?だからこんなに低い数値を出した?そうだったらショックが半端ないんだけど

 

上手く言語化し難いのですが、梔子は周りに寿命が近いことを言ってないと思うんです。理由は皆に心配や迷惑を掛けたくないとかでは無く、彼は自分を通したくて隠したんじゃないかと。言ったら討伐に連れて行ってくれなくなるかも知れない、そんなの絶対に嫌だと。

 

今までの小話から察している人もいるかも知れませんが、梔子は刹那主義っぽいんですよね。今が楽しければそれでいい、後のこととか小難しいことを考えるのが苦手、根回しとか無理面倒みたいな。特徴の苦手:根回しはこの性根からきているのでしょうね。

こういう人なのは、彼が伽羅と二人で一人の相棒関係だったからということが理由としてあると思う。そういうことは小細工が得意な伽羅がして、梔子は思いっきり前を向くだけで良かったんだ。でももう伽羅はいないし、梔子もいなくなる……これ以上この話はやめよう、悲しくなる
f:id:kalino_suke:20191106133426j:image

討伐隊も家で帰りを待つ子供達も、誰もが大江山のことだけを考えて送り出して出陣したんだろうな….
f:id:kalino_suke:20191106132852j:image

今回の討伐隊の陣形がこちら。隊長の芥子は勿論後列、健康度が低下した梔子と防御力が二番目にワーストな恒春も後ろに回って貰います。防御は山茶花に一任し、三人は隙を見て攻撃。芥子と恒春は敵の体力次第で前に出て物理攻撃をさせる予定です。

 

前回の話通り、今回の目的は虚空坊 岩鼻様を解放して朱ノ首輪をゲットと先見部隊として道を切り開くこと。あと出来たら時登りの笛も手に入れたいと思っています
f:id:kalino_suke:20191106132904j:image

第三世代が出陣するなら伽羅を連れて行くことでしょう。こちらの小話【それでも3 - 百鬼一族 血脈の書】で樒が伽羅の代わりとして受け取った耳飾りを、樒は隊長の芥子に受け渡したと思います。

耳飾りを付けた芥子と三人は、イツ花の言葉を受けて意気込みを固めて大江山に向いました
f:id:kalino_suke:20191106133511j:image

芥子が隊長だから女壊し屋の姿に。女壊し屋の後ろ姿本当に可愛い.…
f:id:kalino_suke:20191106132919j:image

遂に大江山へ。あ、黄川人さんチッスチッス

確か梔子と芥子は二度目まして、恒春と山茶花は初めましてです
f:id:kalino_suke:20191106133035j:image

ナ、ナンダッテー!?

遂に明かされた衝撃の真実ゥ……でも額面通りに受け取ってくれたのは山茶花だけかな~あの子優しいエンジェルだから….
f:id:kalino_suke:20191106133059j:image

梔子と芥子は前回の小話【そうだ 大江山、行こう - 百鬼一族 血脈の書からして、天界の使いという時点で胡乱げに思ってる。

恒春は二人の様子を見て警戒してそう
f:id:kalino_suke:20191106133136j:image

….おや 黄川人の 様子が……!?
f:id:kalino_suke:20191106133301j:image

おめでとう! 黄川人は胡散くさがアップした!
f:id:kalino_suke:20191106132843j:image

黄川人、さっきの言葉無しにこれを言っていたらまだ信じられるのに….何というか、そういう所だぞ
f:id:kalino_suke:20191106132956j:image

赤い火!!!十一ヶ月振り【◆1021年01月 九重楼◆ - 百鬼一族 血脈の書】だね!!!

折り返し地点にあるから、石猿さんの所までに赤い火を維持するのは自分のプレイング能力的に難しそう.…少なくとも天狗エリアまでは行っていい物をゲットしたいです
f:id:kalino_suke:20191106133126j:image

赤い火に間に合う様に急いで走っていたら紅こべにぶつかった

戦勝点三倍ありがとよォ!!
f:id:kalino_suke:20191106133253j:image

初手はまだまだ元気だと証明するつもりなのか梔子のターン
f:id:kalino_suke:20191106132940j:image

進言してくれたのにごめんよ、私は今のお前が大将相手にどれくらい通じるか知りたいんだ….
f:id:kalino_suke:20191106133517j:image

225ダメージ!うーん、健康度が低下したからかちょっと威力が落ちてる….?前は400ダメージ位は出していた気がしますが….大江山の紅こべだから堅かったのかなー

そうだと思いたいです
f:id:kalino_suke:20191106133133j:image

次手はめちゃめちゃ雷系の術を押している山茶花。ここは雷電で一掃して貰います、やって下さい山茶花さん!!
f:id:kalino_suke:20191106132934j:image

ファイアーならぬサンダー!!!
f:id:kalino_suke:20191106132949j:image

さすが風神様の子で水神様の孫….….雷電つおい….
f:id:kalino_suke:20191106133038j:image

三倍のおかげで山茶花がレベルアップ。いいね、体がどんどん固くなってる!山茶花さんこの心水はどうしたの?エンジェル呼びが嫌だったから小悪魔系に変更する気なの?
f:id:kalino_suke:20191106133437j:image

赤い火まで残り炎一つで仁王門の前まで来れました。阿吽像を出来るだけ早く倒し、赤い火は天狗エリアで迎えたい….!
f:id:kalino_suke:20191106132802j:image

だが断ると返します。こっちはできれば神様解放して出来れば時登りの笛をゲットしたいな♡とか考えているんだよ!お前達に構っている余裕は無いんです!
f:id:kalino_suke:20191106133405j:image

スロットはこんな感じ。しょっぺえ….

 

ここで仁王戦の作戦の説明を。今回は単純明快、貫通攻撃が出来る恒春にバフを掛けて一網打尽にして貰おう作戦です。余裕があったら恒春に鏡を向けて攻撃力を写そうとも思っています。
f:id:kalino_suke:20191106133521j:image

そんな訳で、まず梔子が萌子!健康度からの能力低下的にも、この討伐ではサポート専門になりそうですね。今回メインバッファーは君だ!

 

余談ですが、この四人が並ぶと水目水肌なのがよく分かりますね。第三世代は皆水目水肌で見た目の共通点が多かったんだよなー….色白だ
f:id:kalino_suke:20191106132839j:image

芥子も武人を掛けて貰いたいですが、如何せん彼女は技火と技土が初代産….!

そのせいで武人を覚えられていません。多分この場で誰よりもこの場面で技のレパートリーが少ないことを歯痒く思っているのは、芥子本人なんだろうな.…芥子ちゃん….
f:id:kalino_suke:20191106132909j:image

でも術が使えずともサポートは出来ます。歯痒く思いつつも、今の色んな出来事を通して大きくなった彼女なら片羽のお業戦【◇1021年 6月 鳥居千万宮◇ - 百鬼一族 血脈の書】みたく動揺なんてしない!冷静に自分に出来る事をやり遂げてくれます!

結界印で全員の回避率を上げて攻撃に備える!
f:id:kalino_suke:20191106133456j:image

前のめりな進言だ。恒春も芥子と同じく、半年前の自分とは違います。悩んで落ち込む日もあったけど、ちゃんと前に進んでいるんです。

きっとそうなれたのは、交神での出会い【あたたかい かみさま - 百鬼一族 血脈の書】がきっかけだったと思います。あの時の出来事が彼に変化をもたらした、だから戦闘に悦楽を覚える自分を恐れずにこんなに強気な進言をしたのでしょう。

 

恒春の様子からして大丈夫だと認識した芥子は、まだ一度しかバフはかかっていませんが攻撃を許可しました。だって今の恒春は、凄く身軽で楽しそうにしている様に芥子には思えたから
f:id:kalino_suke:20191106133024j:image

どっちも約半分は削った!もう私は恒春が楽しそうだからそれでいいよ!!←

手の掛かる子ほど可愛いってことなのか、この時は恒春が前向きだったことに感激して凄く彼に甘々になってたんですよね….冷静にプレイ記録を書いている今は、何でここで攻撃させたんだろとか思って(ry
f:id:kalino_suke:20191106133341j:image

山茶花も恒春の攻撃力を上げて貰います!武人~
f:id:kalino_suke:20191106133021j:image

太り仁王像芥子に攻撃するのはやめて!!?隊長狙いとは賢い奴め……!

でも結界印を使っていたおかげか回避!芥子ナイスです
f:id:kalino_suke:20191106132856j:image

一周回って再度梔子のター….あ゛

 

梔子「実はおれここ最近吐血芸覚えてさあ……げっほごぽうぇッ」吐血

芥子「なんで今それを言うのよ貴方は!!?」💢💢💢💢💢💢💢💢

山茶花「え、AEDAEDはどこなのかな….!?」きょろきょろあせあせ

 

恒春「芥子も山茶花も落ち着いて!!兄さんはこれを倒したら言いたいことあるからね!!!ああもう邪魔だよお前達は!!!!相手してる暇無いからさっさと死ね!!!!」感情ごちゃまぜアタック
f:id:kalino_suke:20191106133306j:image

Our win

f:id:kalino_suke:20191106133006j:image

……はい。最後ぐだぐだしましたが、無事に仁王像達を倒せました。

梔子は三人に何で黙っていたんだと心配されて怒られながら、お雫を掛けられる刑を受けたとかなんとか……。

ここまで来たら、今から梔子を一人下山させることは出来ません。大江山討伐続行です
f:id:kalino_suke:20191106132759j:image

……これを見て、四人は何を思うのでしょうね
f:id:kalino_suke:20191106132930j:image

あの石碑は何だったのか、誰が建てたのか気になっているだろう彼女達に悪いけど今は赤い火!

時間は待ってはくれません。スロットは初武器と術に止まりました!これは欲しい!
f:id:kalino_suke:20191106133153j:image
f:id:kalino_suke:20191106133143j:image

これは……あの石碑を見て芥子と恒春は集中力が削がれてしまった?それで外したとか
f:id:kalino_suke:20191106133140j:image

二人をカバーするべく山茶花がクリティカルアタック!
f:id:kalino_suke:20191106132916j:image

攻撃を受けてしまいましたが、これくらいで芥子は倒れません。ですが油断せずに行きます!

f:id:kalino_suke:20191106132859j:image

梔子は山茶花に鏡を向けるんだ……知らなかった

 

なんというか、恒春と言い梔子と言い……彼等戦闘に関してははかなりシビアに見てるんですよね。恒春にはここに載せていないだけで、澄や山茶花が向けていた記憶があります。ですが少なくとも私の記憶の限りでは、芥子に誰か鏡を向けたことはほぼありません。

言う必要が無いと思って言ってないのだろうけど、多分今生きている子達の大半は、芥子が戦闘力がそんなに無いことを理解してると思うんです。

芥子自身も、自分がそんなに強く無いことを自覚している。だから向けられないことに納得してるんじゃないかなーと……芥子……

f:id:kalino_suke:20191106133201j:image

鏡を向けようとしていますが、今回は大将を早く倒して欲しいので攻撃です。

一回血を吐いてスッキリしたのか、梔子は調子が戻ってきた様子。今日の梔子は色白の顔を青白くしてそう……
f:id:kalino_suke:20191106133018j:image

無事剛鉄弓と芭蕉嵐をゲットです!
f:id:kalino_suke:20191106133119j:image

最後の出陣で自分に合う武器を得るなんて……梔子お前、なんと言うかもってるな?!

39も上がったらこの中で一番の攻撃力になります。お前寿命低下してる筈だよね?何なのこのパワフルさ
f:id:kalino_suke:20191106133435j:image

お次は印虎姫がスロットに止まりました。なおスクショは失敗してありません……

 

見てくださいこの威力、土の属性武器と相性良いのもあって攻撃力上がってるよ梔子スァン……
f:id:kalino_suke:20191106133524j:image

芥子はあの石碑が目に焼き付いて離れないのか、この辺から空振りが増えてきました
f:id:kalino_suke:20191106133130j:image

でもフォローの達人が居るから大丈夫!!山茶花が即切り込みます!
f:id:kalino_suke:20191106133358j:image

再度梔子が攻撃して……
f:id:kalino_suke:20191106132833j:image

印虎姫もゲット!!
f:id:kalino_suke:20191106132836j:image

そして梔子がレベルアップ。梔子のフリーダムさがどんどん上がっていますねww

でも体の数値……本当に来月までなんだね
f:id:kalino_suke:20191106133355j:image

!!?遂に来た!!!それに時登りの笛まで!!!
f:id:kalino_suke:20191106132741j:image

これは逃す訳にはいかない!!前衛の山茶花にバフ積みです!恒春は萌子!
f:id:kalino_suke:20191106133316j:image

梔子も萌子!
f:id:kalino_suke:20191106132938j:image

芥子は速瀬!
f:id:kalino_suke:20191106133532j:image

よしよしいいダメージ!!
f:id:kalino_suke:20191106133115j:image

ってぁあああ゙!!!天狗に……逃げられました……

 

反省点は攻撃するのが早すぎたのことですね……次からはもっと慎重にいきます……
f:id:kalino_suke:20191106133350j:image

この後一向に朱ノ首輪も時登りの笛を持った敵に遭遇出来なかったので、皆の鏡コーナーを開催します()

梔子は再度山茶花に。お紺さん戦【◇1021年 6月 鳥居千万宮◇ - 百鬼一族 血脈の書】で共に戦うことを選んだのもあってか、梔子は山茶花にかなり信頼を向けている様に思えるんですよね。ウマが合うのかな?
f:id:kalino_suke:20191106133309j:imagef:id:kalino_suke:20191106133040j:image

今度は恒春の鏡を向けた相手について〜

恒春は梔子に末っ子根性をぶつけることが多いのですが、それでも尊敬はちゃんとしていると思うんですよ。それがこの鏡に現れているんじゃないかなーと。

山茶花はいつもブレない強さがあるから……片羽ノお業戦でも、小話の中でも、今石碑を見た時も。彼女は動揺しても、自分のやるべきことを常に一番の優先事項として掲げてる様に思えます。そのブレない強さを見て恒春は鏡を向けているのでしょう……

 

〜鏡コーナー終了のお知らせ〜

もう終わり?と自分でも思いましたが、山茶花は向けることが無かったんです……

次はレベルアップの様子を紹介したら、石猿田右衛門戦に移行したいと思います
f:id:kalino_suke:20191106133043j:image

優しさの塊

いやいや、そんな心技は置いておいて……芥子さん?その体の上がりはいったい……(震え声)

芥子は現在一歳四ヶ月、だからまだまだ大丈夫と思いたい……!
f:id:kalino_suke:20191106133112j:image

恒春はまだ一歳なのもあって元気ですね。心土の上がりを見るに、意志の強さが上がってきてるということかなー?(技火と技土から目を逸らしながら)

f:id:kalino_suke:20191106133109j:image

火がラスワンになったのに、あれ以来一度も朱ノ首輪と出会えていない……でも朱点童子までの道はこのメンバーで開きたい!橋へ向かいます!
f:id:kalino_suke:20191106133352j:image

田右衛門さんはじめまして!竜神刀と石猿ください!!!
f:id:kalino_suke:20191106133156j:image

戦勝点二倍じゃなくて物をプリーズ!!!
f:id:kalino_suke:20191106133418j:image

悲しいかな、一度止まったスロットは変わることは出来ない……来月には大江山越えをしたいので、竜神刀達は諦めます(ガバガバプレイング)(基本ゲーム下手なのがここで出た)

 

一番手は初手に定評がある梔子。攻撃と強力な符二つを進言してきたのを見るに、自分の術ではあまり通用しないと判断したのかな……?

まずは様子見ということでしょうか
f:id:kalino_suke:20191106133052j:image

しかし今回の梔子は、貴重な萌子使いとしてバッファーをする運命なんです。前衛の山茶花に萌子!
f:id:kalino_suke:20191106133123j:image

お次は恒春。物理と特殊攻撃、搦手の術と冷静に幅広い選択肢を挙げているのを見るに、石碑を見て動揺した気持ちは落ち着いた?
f:id:kalino_suke:20191106132912j:image

しかしお前もバッファーとなる運命なのだ。

何故なら貴重な萌子使いその二だから……!

山茶花に萌子!
f:id:kalino_suke:20191106133325j:image

山茶花のターン

萌子二積みしてるけどどうしようかなー?
f:id:kalino_suke:20191106133257j:image

今どれくらい攻撃が通じるのか見てみたいので、攻撃してみます。

329ダメージ!石猿田右衛門さんはwikiを見るに体力は1000。ということはあと約700ダメージを与えたら勝ち……!

f:id:kalino_suke:20191106132745j:image

列攻撃を喰らってしまい、芥子と恒春がまた一撃を受けたら危険レベルに……

この時攻撃を受けて焦っていたのか、何故かここで芥子のお母上の東風吹姫様を召喚した私。自分でもあの時なんでこうしたのかわからぬぇ……
f:id:kalino_suke:20191106133149j:image

お母上攻撃ありがとう!!
f:id:kalino_suke:20191106133412j:image

うっすらと見える175ダメージ。これで残り半分程削れば勝ちです!
f:id:kalino_suke:20191106133528j:image

また列攻撃で後列を狙われたら堪ったものではありません。先月娘達が取ってきてくれたお乳母で回復です!
f:id:kalino_suke:20191106133046j:image

これで二連続攻撃がきても大丈夫な筈……!

恒春も攻撃!
f:id:kalino_suke:20191106132821j:image

暴れ石を受けて全員にダメージが……

さっき回復してて良かった、出なかったら芥子達は危なかったことでしょう
f:id:kalino_suke:20191106133313j:image

山茶花の攻撃ならきっともう倒せる!いけ!
f:id:kalino_suke:20191106132830j:image

ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ここで躱されたァァァ!!!!
f:id:kalino_suke:20191106132754j:image

フォローすべく攻撃する芥子。今回空振り判定多かったけど流石芥子、大事な時にきちんと決めてくれる女!
f:id:kalino_suke:20191106132847j:image

梔子もカバー!唸れ剛鉄弓!!
f:id:kalino_suke:20191106133444j:image

よっっっっし!!!
f:id:kalino_suke:20191106133010j:image

無事に四人で朱点までの道を切り開くことが出来ました。戦勝点も美味しい……!

後は岩鼻様を解放するだけ!!時登りの笛は諦めた!!!←

 

ぎりぎりまだラスト一つの炎が消えていなかったので、全員全速力で戻りました
f:id:kalino_suke:20191106133345j:image

朱ノ首輪に止まった!!虚空坊様ありがとう!!!

今度こそ逃げられずに解放したい!前回の反省を活かし、今回は併せで倒そうと思います。まずは初手の梔子が雷電の準備!
f:id:kalino_suke:20191106133431j:image

続いて恒春も!
f:id:kalino_suke:20191106132806j:image

山茶花も!
f:id:kalino_suke:20191106132827j:image

よしよし、攻撃されるも梔子がナイス回避をしてくれました
f:id:kalino_suke:20191106133415j:image

芥子は雷電を覚えていないので速瀬でサポート!
f:id:kalino_suke:20191106133055j:image

準備は整った!!!雷電だ!!!
f:id:kalino_suke:20191106132809j:image

オーバーキル!やりました!
f:id:kalino_suke:20191106133146j:image

朱ノ首輪ゲット!そして戦勝点をありがとうございます!!
f:id:kalino_suke:20191106133422j:image

山茶花なレベルアップ。結構心技の成長が止まってきたようですね
f:id:kalino_suke:20191106133538j:image

顔が上手く撮れなかった解放スクショ

 

ここで炎は消えました。最後バタバタしたけど目的を達成出来て良かった……

f:id:kalino_suke:20191106132953j:image

……うん、帰ろうか
f:id:kalino_suke:20191106132751j:image

ただいま!来月は樒達の番です!

そうだ 大江山、行こう

────ここのところ、芥子の様子が変だ。


「けーしーお前の息子、訓練頑張ってるぜー?

しっかり真面目に取り組んでる。さすが芥子の息子だよなー….って、あれ」


まだまだ太陽の日差しが眩しいある日のこと。樒の命で訓練をしていた梔子は、疲労が見えてきた芹を休ませるついでに、彼の母親である芥子に現状の報告をしようとしていた。部屋にいるだろうと当たりをつけて芥子の部屋を開いてみたが……そこに彼女の姿は無く、もぬけの殻。一人もいやしない。


「居ると思ったんだけど….おーい、芥子ー!」


中途半端に開いた襖を閉めると、梔子は声を上げて芥子を探し出す。しかし休憩の時間が終わる近くまで呼んでみたが、その時は芥子を見つけることは出来なかった。そしてこの日以降、……もしかしたらその前からもそうだったのかも知れないが、芥子を見つけられないことが増えていったのだった。


そして、またある日のこと。


「ふんふんふーん。イツ花ー、芥子ー、出かけたついでに団子買って来た……って、ん?

イツ花、芥子は居ねぇの? 今の時間いつもだいたい一緒に居んのに」


秋刀魚が店頭に並びだしたある日の昼前のこと。備品を買いに行ったついでに、梔子は馴染みの茶屋で団子を購入。昼食後に皆で食べる為に、台所へ置きに行き顔を覗かした。するといつもは昼食の準備をするイツ花と、そのイツ花をよく手伝う芥子が居る筈なのだが、今日はイツ花一人でせっせと動き回って居る。


元々、食事の準備等はお手伝いであるイツ花の領分だ。故に梔子が台所に入ることはあまり無かった。だが芥子は幼い頃に気分転換に料理をして以来ハマったらしく、よくイツ花の助手として台所に立つ姿を見掛けていたのだが……なのにどうして、今回はいないのだろうか。

不思議に思っていると、声を掛けたことで此方に気が付いたイツ花が手を止め駆け寄った。


「梔子様! どうなされたんですか?

お昼ならもう少しだけ待っていてくださいネ」

「いやいや、催促じゃねぇよ。ほら団子、墨の買い足しついでにいつもの茶屋で買って来た。昼飯後に皆でおやつとして食べようぜ」

「わーい! もしかしていつものお店のお団子ですか!? 私、あそのこお団子大好きなんですよ」

「おれも。じゃあそこの棚に団子置いておくから….って、そうだ話し逸れてた。

今日は芥子居ねぇの? 珍しい」


忘れそうになっていた疑問を思い返しつつ、梔子は風呂敷で包んだお団子を棚に置く。イツ花は忙しいのか、止めていた家事を再開しながら芥子について話し出した。


「芥子様ですか? 芥子様は書庫だと思いますよ~」

「書庫?」


百鬼家の屋敷の一角には、歴代の討伐記録や報告書、更には鬼や神等についてまとめた資料何かを保管する書庫がある。それなりに広い書庫にある資料たちの管理は、芥子や芥子の父が務めてくれている。有り難いことだ。


何か気になることでもあったのかと考えていると、ぽつり、イツ花が気になる発言を零した。


「今まで解放してきた、朱の首輪に縛られていた神について調べているんでしょうね。

そんなにあの話で思うことがあったのかしら….」

「あの話? なんのことだ?」

「いえいえ、ちょっと芥子様とお話しただけですよ」

「ふーん….、そっか」


昼食はもう少し、という言葉を最初に言った様に、イツ花はあと少しで出来るからなのか忙しなく完了へと近づけている。料理に集中しているせいか、会話はおざなりになり途切れてしまった。

これ以上この場に居ても邪魔になるだけ。梔子は芥子とイツ花の会話について考えを巡らせまがら、台所から去って行く。

 

 


神無月のある日のこと。ついに、梔子の好奇心は爆発した。


「妖怪書庫こもりはここかー!!」

「きゃああっ!? く、梔子!?

襖を音を立てて開けては駄目じゃない!! 痛むでしょう!!? 

それに大声を急に上げない!! 吃驚するからやめて頂戴!!」


その日、梔子は爆発した。必ず、かのコソコソ何かをしている芥子に事実を聞かねばならぬと決意した。梔子は気になったことを放置し続けることは出来ぬ。梔子は、刹那主義である。己の心に従って生き、積りに積もっていった疑問をそのままにして暮らしてはいけぬ……と言う訳で。

ここに挙げた例以外にも、芥子が考え込んでいたり樒やイツ花と真剣に話姿を何度も見ていたら、ついに本人に聞かないと気になってしょうがなくなってしまったのである。

それと時期的にも、芥子には聞かないといけないことがあるのだ。


家中を探し周り他の家族たちに聞き込みをして、芥子が書庫に居ると知った梔子は溢れる気持ちを抑えずに突撃をした。結果、逸る気持ちの犠牲となった襖と驚いた芥子に怒られたのだが。

しかし梔子は、伊達に相棒と共にしょっちゅう芥子に怒られ続けてきた訳では無い。ぷんすか怒られて一気に四連発で注意されようと、これくらいでへこたれりはしないのだ。けれども、一応驚かせたことと強く開けたことの反省はしている。それなりに。


「あ、ごめんな」

「全然反省しないんだから….! はあ……」

「ごめんなー襖、痛かったかー?」

「私に言うことは無いのかしら?」

「あるぜ、芥子もごめんな!!」

「本当に謝ってるつもりなのかしら、その笑顔は……」


誠意を込めて謝ると、芥子は疲れた様にため息を吐いた。本気で謝っているのに、何故かいつも芥子には伝わらない。これがどうやっても埋めることが出来ない溝というモノか….なんて適当な解釈をしながら、梔子はどかりと芥子の横に胡坐をかいて座る。

やはり何かしていたのか、芥子の手や周囲には様々な本や巻物が置かれていた。


隣に居座り出した梔子に対して、芥子は怪訝な顔になる。自分のことは気にするな、と言う気持ちを込めて手を振ると、彼女は再びため息を吐く。

そんなにため息を吐いていたら、幸せも一緒に逃げてしまいそうだ。芥子は手にしていた本を文机に置くと、いったい何の用なのかと梔子に問いただす。


「座ったということは長く居座るつもりなのね……いったい、私に何の用かしら」

「んーそうだな。簡単に言うと、心配と好奇心からの用事?」

「….は? どういうことなの?」


どうも何も、そのままの意味だ。ずっと何かを調べたり考えたりしていることへの心配と、何をしているかの気になる個人的な好奇心。その二つ。

そのまま本心を芥子に伝えると、芥子は湾曲的に言わず最初からそう言いなさいな。と適当なツッコミを梔子に投げた。確かにその通りである。


「もう、どうして梔子はいつも面倒な言いぐさをするの……」

「おれは普通に喋ってるだけだぜ?」

「梔子にとってはそうでしょうね….これはきっと、私と貴方の価値観の差異のせいね……」

「そんな疲れた顔すんなって。 

その辺はもう諦めろよ。ずっとおれ達はこんな感じなんだからさ、多分一生こうだぜ?」

「いや、いやよ。絶対に諦めないわ。

だってそうでないと、私と恒は一生ツッコミ疲れするってことじゃない!」

「ははっかもな。まあ……うん、頑張れ!」

「他人事じゃないわ、梔子当事者でしょう!? 良い笑顔浮かべてんじゃないわ……ってああもうそうじゃないわ! 

こんなを話するんじゃなくて、梔子は私が何しているか聞きにきたのでしょう!?」

「あ、そう言えばそうだった。いや~うっかりしてた」

「“うっかりしてた”! じゃないわよ…! 

はあ……」

「いやちゃんと気付いてたけど、話がノッてきたからさ。つい」


ごめんなと謝ると、芥子はもう疲れて来たと額に手を当てだした。このポーズやため息を、梔子は芥子や恒春にはよく取らせている自覚がある。そのことに対しほんの少しの反省の気持ちを覚えるが、生憎自分はこの性根を自分は気に入っているせいでなおしてやれそうに無い。

だが代わりに、二人が本当に嫌になる前にいつも必ず引くようにしている。それで許して欲しいと思っているが、これを言ったら最初からやめろと言われそうなので口に出したことは無かったりする。


額に当てていた手は、いつの間にか口元へ。この仕草は、芥子が考え事をする時によくやるものだ。きっと今彼女は、梔子に対してどう説明するかそれともどう誤魔化すかとでも考えているのだろう。


(出来れば本当のこと話して欲しいんだけどなあ。心配事や悔いを残して逝きたく無ぇし)


芥子が置いていた辺りの書物達の角度を全て揃えたりして待っていると、彼女が口元から手を離した。これは、芥子の中で結論が出た証だ。

彼女は大した悪戯じゃなく問題なしと見なしたのか、梔子の手元を一瞥すると問いの答えを口にした。


「適当にはぐらかそうかと思ったけれど….いいわ。

私が何をしていたかと言うと、そんなに大したことでは無いの。

……朱ノ首輪を手に入れる為、私が大江山に登る算段をしていただけよ」

「朱ノ首輪? それって、伽羅が危険だからって全部処分したあの首輪?

んで、芥子が登んの?」

「ええ」


梔子の疑問の声に頷いて是と返すと、芥子は先程梔子が整えた書物の一番上に置かれていた、朱ノ首輪についてまとめた資料を手に取った。


「どうしてあれを欲しているかと言うと、最悪な想定が正解だった場合に備えたの。

……あの首輪は確かに呪われていて、付けた者がただじゃ済まないのは、私も梔子も見た事があるから知っているでしょう?」

「まあな、ヤバそうだったのはちゃんと覚えてる」


最悪な想定とは、自分達の中で暗黙の了解となっている一番嫌な未来の結末のこと。だがそんなことよりも、今気になるのは首輪についてだ。


かつて、伽羅や山茶花の母の鹿子が存命時の討伐で手に入れた朱ノ首輪。おれ達で外して解放したあの烏の神は、忌々しそうにあの首輪を一瞥するや否やすぐさま天界へと帰って行った。

残された首輪は家へと持ち帰ったが、ずっと禍々しい何かを放っていた朱ノ首輪を、伽羅は即処分した。だから見れたのは少しの間だけ。だがそのほんの少しの間だけでも、あの強烈な印象は未だに記憶に残っている。


「当時伽羅と二人で調べた結果、あの首輪は凄まじい怨念と共に力が籠っていると分かったの。天界の使いのイツ花からも、朱ノ首輪は付けた者を呪うと同時に力を与えるという証言を取れたわ」


あの日の伽羅、部屋でゴキブリを見つけた瞬間の様に嫌な反応を首輪にしていたわ。なんて、芥子は思い出し笑いを浮かべながら語った。


「その証言を聞いて、伽羅はなお危険と見て処分したけど……最悪な展開になった時の為にも今は、あれが必要だと思うの。

もし、これからも戦わないとけないのなら。今まで通りを押し通せない瞬間が必ず来るでしょう。だから危険を冒してでも、力を得る手段はあるべきよ。

手段は多ければ多い程、一族の選択肢の幅を広げることが出来るのだから」


そこまで言うと芥子は口を閉ざし目を伏せた。すうっと小さく深呼吸をすると、彼女は梔子と再び視線を交え口を開く。


「どうして樒では無く私が行こうとしているのか、それにも正当な理由があるわ。

大江山で朱ノ首輪に縛られている神の解放条件が、“隊長が女であること”なの。

だから、男である樒では出来ないのよ」

「性別はどうしようも出来ねぇからなー」

「ええ、だから女である私が隊長に任命されたのよ。尽力を注いで、必ず神を解放して朱ノ首輪を手に入れてみせるわ」


拳を作り決意に満ちている芥子に、梔子は思わず苦笑いが溢れた。いつも家族のことを考えて心配してと、悩む役割に立つことが多い彼女が前向きなのは良いことなのだろう。だが兄心的には、張り切り過ぎて空回らないか心配になってしまうのが本音だ。


「気合充分な芥子は珍しいな。気合を入れるのはいいけど、あんまり気負いすぎんなよ?」

「大丈夫よ。もし何か起きたとしたら、一緒に行く梔子や恒や山茶花に相談するわ….っあ、梔子。今言ってしまったけれど、来月の討伐隊に参加して貰うわから」

「……….マジで?」

「まじで、よ。

ちなみに、来月私達が行くことの許可は既に樒に取っているわ。今日の夜にでも、樒から皆に伝える予定だったのよ?」


あっけらかんと落とされた言葉に、梔子の思考処理速度が落ちた。今目の前に居る存在は何言ったか。とうばつ….トウバツとは何だったか….TOUBATU……討伐? それはあれか、出陣して鬼を退治しに行くあの行為のことか……? ここまで理解するのに、約10秒程掛かってしまった。


どうにか再起動して、討伐に自分が行けると呑み込めた次の瞬間。喜色満面となった梔子は、戦いに行ける嬉しさのあまりその場を跳び上がった。


「マジかすっげぇ嬉しい!! 本当に最高だ!!

いやー年的にそろそろおれ隠居だろーなー戦いに行けないの残念だよなーとか最近思ってたからさあ!! ほんっとうに嬉しい!! ありがとな芥子!!」


周りの書物に当たらない様に気を付けながら、その場で小さく何度も何度も跳び上がって喜びを表現する。してもいいなら今すぐ家族全員に言いふらし周りたい程に、梔子は嬉しくて堪らなった。


どうしてこんなにも討伐に行けることに喜んでいるのか。それは、梔子が恒春とは別種の戦い好きだからだ。

色々と又聞きで話を聞いた感じでは、弟は鬼を殺すことに愉悦を覚えるタイプの様だ。しかし自分は、殺すと興奮してテンションが上がるタイプだ。この二つは微妙に違うから一緒にしてはいけない。ちなみに余談だが、伽羅も自分と同じタイプだった。そういうところが一致していたから、自分達は気が合ったのだろうと今なら思う。


供述の通り、梔子はもういい年だ。祖父も叔父たちも、今の梔子と同じ一歳七ヶ月には死んでいる。自分的にはまだまだ元気だが、幼い家族を押し退けて寿命間近そうな己がまた戦えるとは思ってもいなかった。そんな訳もあって、梔子はこんなにも喜んでいるのである。


「はー……~~~あーもうッ! 梔子! 

嬉しいのは分かったからいい加減大人しくしなさい! 貴方が飛び跳ねる振動で本が揺れてるでしょう!」

「お….っと、それはヤベェな。ごめん!」

「本当に落ち着きが無いのだから……はあ」


芥子はため息交じりに、梔子のせいで少しズレた本を元の位置に戻す。両手を合わせて書庫の主に謝ると、梔子は同じように本を戻す作業を手伝った。

二人で協力して戻したからか、ズレて危うそうになっていた本たちは直ぐ元の位置に。芥子が満足そうに並べた本を眺めているのを見ていると、梔子はふと脳裏をよぎった疑問を口にした。


「芥子隊長しっつもーん」

「まだ十月だから隊長では無いのだけど….何かしら?」

「戦えるのはすっっっげぇ嬉しいぜ? けど最悪なもしもを考えんならさあ、成長の余地や未来の猶予がそう無いおれよりも澄や芹とかを連れて行ったがよくねぇ?

合理的に考えてさ」


討伐が嫌で言っている訳では無いからな。と注釈を付け加えて、芥子に尋ねる。戦えるのは心の底から嬉しい。だがしかし、今が楽しければそれでいいと思っている自分でも、己が行くのは非合理だと理解出来る。

それなのにどうして、芥子は連れて行こうとしているのか。どうして樒は許可をしたのだろうか。生憎梔子は、その辺の事情を察するのは得意では無い。というか、深く考えるのが苦手なのだ。ノリで自分を討伐隊に入れたんじゃね? 等と適当な結論ですぐに終わらせたくなってしまう。


芥子は何てことも無さそうに、寧ろそんなことかとでも言いたげな飽きれ混じりの声で、理由は三つあるとを指を一本ずつ立てながら教えてくれた。


「簡単な理由よ。一つ、梔子が未だ衰えず強いから。二つ、大江山の敵が私達で敵わない位とても強かった場合、捨て駒にするのは年老いた者から順にする方が効率が良いから。だからもしもの場合、まだ変わりがいない山茶花を私達三人で守って下山するわよ。

……そして最後に、三つ」


三本目の指を勿体ぶった態度でゆっくりと立てると、芥子は悪戯っぽく小さく笑った。……血が繋がっているからだろうか。その笑顔は、何処となくおれ達に似ていた。


「私が、この四人で行きたいの。正直言うと、三つ目が一番重要な理由よ」

「……マジで?」

「まじ、よ」


ついさっき似たような会話をした気しかしない。想定外過ぎる理由に口を開けて驚いていると、芥子はしたり顔で可笑しそうに笑い出した。

いや楽しそうなのは良いことだが、予想外過ぎてこっちは口が塞がらないのだが。


「ふふ、こんなに驚いた梔子は初めてみたわ。

いつもとは正反対の立ち位置になっているわね、ああ可笑しい!」

「いやー….これは仕方無くね?

我が家の参謀ポジな芥子がワガママで決めるとかさあ、珍し過ぎんだろ。

一体どういう風の吹き回しだ?」


驚きを紛らわせる為に、胡坐をかいて座っていた姿勢を変えてみる。両足の裏をぴたりと合わせ、その足を両手で掴んでぐらぐらと揺れ動く。周囲の書物にぶつからない様に慎重に動くのは、自分に少しの緊張感を与えてくれて気分転換に良さそうだ。


口元を抑えて笑っていた芥子は、その手を徐々に降ろして胸元でぎゅっと握りしめる。楽しそうだった表情は一変し、見慣れた眉間の皺が表れる。これは、悩んだり困ったりした時に芥子に浮かぶものだ。


「別に、大したことでは無いのよ? 

……樒は、澄達を連れて必ず朱点を討ち果たすでしょう。あの子達ならきっとやってくれるわ。だけど、だからって、あの子達に全てを背負わせたくないの。

ほんの少しでも、露払いだけでいい。親として、年長者として、子供達ばかりに背負わせたくないのよ……!」


揺れ動くのを止めて、梔子は静かに芥子の思いを聞く。思いをぶちまける妹は、相変わらず家族想いで心配性な様だ。


「だから私は、樒よりも年上の私達四人で行きたいと考えたのよ。

….まだ幼い恒春や山茶花、それに梔子までも巻き込んで勝手に決めたのは……….自分勝手だと、自覚しているわ。それでも、行くならこの四人で行きたいと思ってしまったの。ごめんなさい….」


尻すぼみになり、ついに芥子は黙り込んでしまった。全く、この妹はつい先程の兄の喜び様を忘れたのだろうか。恒春や山茶花が反対するとでも思っているのだろうか。


(全くしょうがないなー芥子は。おれの満ちに満ちてる自信を分け与えてやりたい位の自信の無さだ)


梔子は腰を上げて、沈み込んでこちらに気付かない芥子に一歩歩み寄る。そして思いっきり、彼女の短い髪の毛をくしゃくしゃに撫でまわした。


「っぇ!? きゃ、ちょ、ちょっと梔子!?」

「おーしよしよし、芥子は頭は良いけどバカなところあるよなーよしよし」

「はっはあ!? 何でバカにされないといけないの!! やめなさい! 髪が….!!」

「お前さ、自分に自信無さすぎ。もっと自信持っていいと思うぜ?

家族のことを思って決めた討伐を、おれ達が断るとでも思ってんのか?

現におれ喜んだじゃん、討伐隊に入ったこと。芥子は自分を信じることと、周りをもっと信じる様にしような~~~」


梔子の言い分を聞いて、芥子は髪を撫でる手を止めようとする手をぴたりと停止する。


「……ちゃんと信じているわよ」

「おれから見ると、芥子はもっと信じていいと思うんだよ。心配になるレベルで思ってるからなー?」

「………….」


最後にぽんと一度頭を撫でて、梔子は座り直す。芥子はぼさぼさになった髪を梳きながらも、何処か上の空だった。


(これを機に少しで良いから改善してくれたなら……まあ、うん。なるように為ればいっか。芥子は頭良いんだし、大丈夫だろ)


何とかなるだろう。これ以上考えてもどうしようも無いので、梔子はそこで思考を切り替えることにした。ちらりと芥子を見るやと、まだ梔子の言葉について考えているのか、どこかぼんやりと己の手を見ている。


考えてくれるのは嬉しい。が、それよりも。

無視したままではいられない話題について、己も大江山に行けるのならなおのこと、梔子は自分の次に年長者な芥子に聞きたいことがあるのだ。


ぼうっとしている彼女に気付かれない様、静かに右手と左手を鎖骨前辺りに掲げると、梔子は勢いよく手を合わせた。


「けー….しっ!」

「っ!? な、何かしら、驚いたじゃない….」


ぱん、と大きく響いた音に、芥子は肩をびくりと上げて驚きを露わにする。

梔子は思考の海から彼女が戻ってきたのを認識すると、ちょっといいかと口にした。


「いいけれど….もっと穏便に呼んで欲しかったわ」

「あはは、いやーごめんな? 次から気を付ける。

んで、芥子に聞きたいことがあってさ」

「聞きたいこと?」

「そう、聞きたいこと」


彼女の言葉にオウム返しをしつつ、梔子は周囲に注意を向ける。

唯一の出入り口である襖の外にも、部屋の中にも、自分達以外の気配は無い。誰かが近づいている様な音も聞こえない。念の為立ち上がって襖の外を見てみるが、やはり誰も居ない。


その事実を確認し終えて芥子の前に座ると、彼女は一体何がしたいのだと胡乱な目を梔子に向けていた。


「梔子、貴方何しているの?」

「念の為の確認〜。そんなことよりもさあ、芥子」

「もう、何?」


今生きている自分達も、死んで逝った家族達も、誰もが無視してきたことがある。今まではそれでも良かった、首魁の膝元に辿り付ける算段すら立てられなかったから。だけど自分達は、来月大江山に行く。もしかしたら、自分も当事者になり得るかも知れないのだ。

それならもう、見ないふりは出来ない。だからせめて、年寄りくらいは嫌な現実と先に向き合っておくべきだ。もしもの時に、年長者が一番取り乱していたらカッコ悪い。そんなのは無様を晒すのは性に合わない。


「芥子はさあ、どっちだと思う?

 

朱天童子を倒したら天界の言う通り呪いが解けるか……それとも、最悪の想定通りにになるか」

「それ、は……」


百鬼一族は、基本的に天界の言葉を疑っている。いつから、誰からそう考える様になっていたのかは梔子は知らない。だが家族の大体は、純粋に天界の言葉は信じていない……と、思う。はっきりと全員にどうなのか聞いたことが無い、だから詳細は不明だ。


(おれだけだったら解けるかどうかなんてどうでもいいけど、こいつ等が泣いたり悲しんだりすんのは嫌だからなー。だからおれ個人としては、どっちかと言うと解けて欲しい派….みたいな?)


胡坐の右足に肘をつき、芥子の顔を覗き込む。自分の次に年長者な芥子にも、もしの場合取り乱されたら大変なので聞いてみたが….さて、何と答えてくれるだろうか。

梔子の言葉に、情けない顔をしていた彼女の表情は遣るせないものへと変わり、膝上に置いていた資料を持つ手に力がこもる。


「そんなこと、……そんなこと、聞かないで。勿論、解けて欲しいとは思っているわよ?

だけど純粋に信じ切れる程……私は、素直じゃないの。ないのよ」


芥子は徐々に言葉尻が弱まり、強く自身の着物の袖を掴んだ。

……信じ切ってしまいたいのだろう。その気持ちは理解出来る。巨悪を倒したら全てが解決して幸せな終わりが来る、めでたしめでたし。なんてイイ話なのか、この世の全てが拍手を寄越すに違いない。


だけど百鬼の血が、遺して逝った祖先達の言葉が、そんな風に信じさせてはくれなかった。

信じるとはなにを? 誰を? ……天界を。初代をこの地に遣わした神々を。


俯いている芥子はきっと、脳内で信じたい気持ちVS信じれない本心とで葛藤でもしているのだろう。ここに居るのが自分では無く、恒春や山茶花達ならそっと芥子の心に寄り添った筈だ。しかし、今彼女の前に居るのは自分だけ。生憎なことに、梔子は湿った空気が苦手だ。だがこのままでは芥子ずっと暗い顔……それは困る。し、家族が悲しい顔しているのは嫌だ。


(よーし、芥子の意識をこの話から逸らすか。

あまりに検討違いな話題転換したらあからさま過ぎるし〜、どうすっかなー……)


下を向いて芥子が気付かないことをいいことに、梔子は左右にゆらゆらと揺れてマイペースに話のネタを考える。今この場を誰か見たら、傍はどんよりと重い空気を放ち、傍はのんきに揺れている光景に微妙な顔をすることだろう。そうなることに、梔子は今日の夕飯の煮魚を賭けてもいいと思った。


んんんと唸って知恵を絞った結果、突如梔子の頭に妙案が浮かぶ。

これなら問題ない。ついでに、自分が若干疑問に感じていたことが分かるかも知れない。良い手札を引けたことに浮かれた気分になりながら、梔子は芥子の意識を引き上がらせる為に声を掛ける。


「おーい芥子、気になることがあるんだけどさー」

「….っへ? あ、なにかしら」


思考の海を泳いでいたからか、芥子は梔子の呼びかけに少し遅れて返事をした。


「おれ達の宿願が叶うかどうか、それが間近に迫ったからこそ知りたいことがあって」


軽い世間話をする要領で、梔子は謎に思っていたことをすらすらと適当に述べてみせる。とはいっても、内容は世間話とは程遠い物だが。


「そもそもさ、我が家は何で天界の言葉を疑う奴が多いんだ?

確かに天界の言葉が旨すぎて訝しむのは分かるけど….でもおれらがそう思えるのは、先におれ等の親達が疑っていたからっつー土壌があったからだろ? 

じゃあ何で……何で、母さん達はそう思う様になったんだ….?」


自分で疑問を口にしていくに連れて、今まで詳しく考えていなかった疑問が殊更に深まっていったのが分かる。

覚えている限り、母も兄も姉も全幅の信頼を向けていなかった。全員、何かしら天界へ思うことがある様な口振りをしていた記憶がある。


梔子の言葉を聞いた芥子は、悩む素振りを止めて静かにその場から立ち上がる。急に立った芥子を不思議に見ていると、彼女は書庫の奥へと姿を晦ましたかと思いきや、直ぐに何かを手にして元の場所へ座り直す。

芥子が持ってきた物に目をやると、それは青とも緑ともどちらとも言える色をした背表紙の綴じ本だった。


「それは?」

「……初代の日記よ」

「じいさんの?」

「ええ」


裏返し最後の頁を開き、芥子は端の方に書かれていた初代の名前を指差す。名の隣には“一〇一八年四月〜”と書かれている。今から三年前と言うと、確か初代が京に降り立った年だと梔子は記憶している。本当にこの本が、初代の日記なのだろうか……?

物珍しげに熱視線を日記に送っていると、芥子が梔子に本を手渡した。


「梔子の欲しい答えは、この日記を読めばあるわ。開き癖が強く付いている頁達だけでも良いから、読んでみて」

「ああ、分かった。貸してくれ」


日記を受け取ると、梔子はぱらぱらと最初の頁から軽く流し読みをしていく。日記と言うには、書かれている頁数が少ない様に見受けられる。最後の日付けは一〇一八年七月で、どう考えても祖父が死んだ冬の日付けよりも早過ぎる。途中で日記を書くことに飽きたのだろうか?

不思議に思えど、梔子は一先ず読んでみることにした。勿論、癖が強くついている頁はは入念に。


『一〇一八年四月○○日

天界ではしていなかったが、地上に戻った記念に日記を付けようと思う。

太照天夕子様のお導きで、俺は京の都へ戻ってきた。

今日から俺は直接会うのは初めてな俺の娘と、天界からお手伝いとして使わされたイツ花の三人でこの家で暮らす。上手くやっていけるか……少し不安だ。

だが、俺は死にたく無い。二年も生きられなくとも、二人と協力して必ずこの呪いを解いてみせる。』


『一〇一八年五月○×日

一ヶ月どれだけ探しても、父や母の血族を見つけることは出来なかった。太照天夕子様は“朱点童子は一族の復讐を恐れて”と言っていた。だから父や母の親族も俺と同じで、両親の復讐を考えているのかと思っていたが……京の住人達に聞き込みした限りでは、父の親族はみな亡くなるか、とっくの前にこの地を去ったらしい。母の方は残念ながら全く分からなかった。……恐らく、父と同じだろう。

助力を得られれば何て、そう世の中は甘く無いようだ。だが大丈夫、俺は一人では無い。イツ花が居て、伊予が居る。彼女達がいるから、立っていられる。本当に感謝しか無い。太照天夕子様のお言葉通り、“いつの日か必ず朱点童子を討ち果たす”。その為に、小さくても一歩一歩きちんと歩んで行こう』


最初の方に書かれていたことは、娘の伊予のことや迷宮の鬼、京での生活について等。特に目についた頁は、最初の頁と五月の親族に言及した箇所くらいだろう。


祖父はこの時点では、自分達で呪いを解くつもりだった様だ。三世代、いや四世代経た今でも解けていない現実を生きる梔子としては、素直に哀れみを覚えてしまう。

そしてもう一つ気になった五月の頁、曽祖父母の親族について。居ないのが当然だったせいで梔子は何も思っていなかったが、確かに生まれてこの方、呪われた一族以外の百鬼の名を持つ親族と会ったことが無い。


(身内から朱点童子の膝元まで行けた人間が出た結果、鬼に狙われ易くなって殺されまくったとか? んで、生き残った親族は遠くへ逃げた……そんな所な気がするな)


この推測はあながち間違っていないだろう、そんな不確かな確信を覚えながらも、梔子はぱらぱらと次の頁を捲った。


『一〇一八年六月××日

勇者の子だなんて持ち上げられても、所詮子は子であって勇者では無い。神の血を引く伊予と違い、俺はただの人間だ。迷宮手前の鬼で手こずっている様な今の俺達では、朱点童子は夢のまた夢だ。

……あの神様達は、どうして俺に手を差し伸べてくれたのだろか。幾ら両親が強かったとしても、子の俺は二年と生きられず父達の様に強くなるとは限らない。それに、そこらの木っ端鬼に振り回されていると言うのに。いや、こんなことを考えるのはやめよう。あの方達は俺を助けてくれた。その恩に報いよう。

話がズレてしまった。だから俺は、今月再び交神することにした。神の血を引く子が増えれば、討伐も少しは余裕を持てるだろう。それに家族が増えたら、家はもっと賑やかになる筈だ。そうなったら、俺は嬉しい』


どうやらこの辺りから、祖父は天界の施しに疑問を持つ様になったらしい。自分も母や兄達に聞いたことがあるが、祖父や母達が現役の頃は、迷宮の最初に出てくる鬼にすら手こずっていたと。今では最奥の大将すら倒せる自分達からしたら、にわかに想像し難いことだ。

だが、祖父達は本当に苦戦していたのだろう。だからこそ、そんな自分に手を差し伸べた天界の神々に疑問を抱いた。


恩には報いたい、強く功績を残した両親と弱い子供の自分、家族が増えることを純粋に喜んでそうな感性……母や兄達から、祖父は無表情で喜怒哀楽を出す変わった人だと聞いていた。だがこの日記を読む感じ、何というか、


「……じいさんって」

「?」

「思ってたより普通の人だったんだな。文章だけで、じいさんの最大の特徴だった表情が無いせいか?」

「そうかも知れないし、もしかしたら本当にただの人だったからかも知れないわ。私達は会ったことが無いから、実際のところは分からないわね。でも、私も初代は普通の人だったと思う。……だからこそ、苦悩したのでしょうね」


苦笑いをこぼして、芥子は額の呪いの証を触る。ついつられて、何となく梔子も額の証を撫でた。もう直ぐこれが無くなるかも知れないと思うと、色々と思い返してしまうものだ。


日光を額の玉で反射させて紙を燃やせるか実験したあの日、出来物と勘違いして寝ている間に引っ掻いて血が出たあの日、冬に額の玉が冷え過ぎて周りの皮膚の血色が悪くなったあの日……面白かったことばかり記憶する性質なせいか、ふざけたことしか思い出せない。こういう時、自分はシリアスな空気が合わないなとほとほと実感してしまう。


閑話休題。気を取り直して、力を込めて開いて握り締めでもしたのか、一番ボロボロになった最後の頁を、梔子は開き見た。


『一〇一八年七月×○○日

俺はなんだ。あの子はなんだ。鬼に負けるならまだいい。しかし人間に負け、父を知る者共から失望の視線を受けるのは堪える。なぜ、何故、なぜなんだ?

本当に俺は両親の子供なのか。あの子は神の子なのか。いや、しかし。こんな額に玉を付けた人間の偽物を作る必要は無いだろう。神々は俺で遊んでいるのか?  いいや、神がそんなことをする筈が無い。あの方達は俺を救って下さった本当に? 本当に俺は善意で救われたのか? 確かに俺は天に居た。アレ等が異形のモノであるのは真実だ。じゃあなんで娘は、伊予は、何で人間に負けた。俺が一緒だったからか。弱い俺が足を引っ張ったからか。

分からない、分からない、何も分からない!  俺が倒れたせいで負けたのに、俺は娘を疑ってしまった。俺を遣わした神々に不信感を持ってしまった。俺に失望する京の人間に絶望してしまった。

誰でもいい、教えてくれ。俺は、俺は何なんだ。ああ、ああそうだ本当は分かっていた知っていた理解していた!!!


こんなに弱い俺では朱点童子は倒せない!!呪いを解くことは出来ない!!!  あの神はいつの日か倒せと言った、それは俺で無くても良いということだ!!! それなのに期待されていると思って必死になって!!  愚かとしか言いようが無い!!! 俺は期待なんてされていなかったんだ!!!!』


……中々に情熱的で、読むのに気力がいる内容だった。見開いた頁の全てを読み終えると、一旦顔を上げて深呼吸をした。何となく気分で伊達眼鏡をかけ直し、梔子は件の頁をしげしげと観察してみる。

強い力で日記を掴んだのか、開かれた頁の左端が爪でくしゃくしゃにした痕が残っている。相当気持ちを込めてしたのだろう、掻いた痕に血が滲んでいて痛々しい。


人伝てに聞いていた祖父の形が、ばらばらと崩れていく音が聞こえた。祖父は、耐え切れなかった。弱い人だったのだ。


(これのどこが子供大好き~家族大好き~な、愉快なじいさんだよ。表情筋が仕事しない人だったせいで、表にはこの内心を一切出さなかったとか? だとしても違い過ぎだろ)


気を取り直し、梔子は次の頁を開きまた日記へと向き直る。前の頁を書いた時から少し時間が経ったのか、頁の最後の方は投げやりに書かれていた祖父の筆跡が、最初の数ヶ月と同じ落ち着いた筆使いへと変化している。


『──────伊予が、泣いていた。自分が弱いせいで俺に怪我を負わせてしまった、自分が役に立たなかったから俺が周囲からなじられた、ごめんなさい、ごめんなさい……と。


あんな馬鹿なことを書いてしまったが、本当はちゃんと分かっているんだ。伊予は何者でもない、俺の子だ。俺の娘だ。ああそうだ、そうだった。あの子は、俺を父として見てくれている。俺を認識してくれている。俺を、見ている。


もういい、もう、いいや。もう、その事実だけあれば、それで良い。生きることも、期待に応えることも、俺には無理だ。受け入れよう。認めよう。身の丈にあったことをしよう。だから俺は、大人しくいつかに向けての祖となろう。その代わり、父としての立場だけは誰も脅かさないでくれ。お願いだ。お願いします。神様。

こんな惨めな俺を慕ってくれる娘が居るんだ。あの子の親愛に応えたいんだ。大人しく死にます、だから、父親を張らせて下さい。父親の立場でいたい。縋りたい。ああ、ああ伊予。こんな弱い父ですまない。来月くる子供も、こんな醜い父ですまない。それでも、お前達の親で居させてくれ。幾千幾万居る生物の中から、俺の子として産まれてくれたんだ。精一杯、愛させてくれ。

俺を、 見 て 』 


泣きながら書いたのか、頁の端がふやけて読み辛かった。全て読み終えた梔子は、日記を閉じて大きく息を吐いた。それはまるで、どっと押し寄せた負の念を全て吐き飛ばすが如く。


「はーーーー……じいさんこれもしかして壊れた? それとも狂ったか?」

「この日記を私に継いだ父は、祖父は傷付いて弱った果てにちょっと頭のネジが数本飛んでいったんだろうと言っていたわ」


ちょっと飛んだ位じゃなくね? と思いはしたものの、既にいない芥子の父である延珠に言葉が届く訳でも無い。梔子は喉元まで出てきたその言葉をぐっと飲み込んだ。


色々と思うことはあれど、確かにこの日記には梔子の疑問の答えが載っていた。つまり始まりである祖父が天界の神々に不信感を持ったから、母達も疑念を抱く様になったのだ。と言っても、祖父は不信を抱きつつも神頼みを書いてしまう程不安定なことがあったようだが。大丈夫かこの祖父。いやもう過去の人だが。


「でもま、何で母さん達が天界を疑っていたかは理解出来たぜ。じいさんがお上を何だこいつーって思ったから、母さん達もそう思う様になったんだな」

「ええ。父が存命時に私から聞いたことがあるけど、梔子の言う通りだったわ」

「当たっても何も嬉しくねーーーーよ」


面白くないと言いたげに、梔子は唇を尖らせた。


「言ったら何だが……じいさんが偉い神に望まれたことは、いつかに向けて種馬になることだった。って捉えることが出来るよなあ」

「種馬って……梔子、言い方」


言い様が引っかかったのか、芥子はしかめっ面になる。梔子はおどける様に肩を竦め、悪い悪いとさして悪く思ってもいない薄っぺらな謝罪を述べて話を逸らす。


「最初に注意は言っただろ? ごめんって。

この日記に書かれていることが事実なら、神はじいさんを持ち上げたけど、じいさん自身に朱点童子を倒すことは期待してなかったかも知れないんだよな?“いつか”

と、その事実を湾曲にしか言ってなかった……」

「祖父の勘違いの可能性もあるわ。日記を書いた時の祖父、凄く混乱していたみたいだもの」

「そーーだけどさーーーぁ」

「? 何が言いたいのよ」


訝しく己を見てくる芥子に、梔子は胡座を掻いた足に肘を付いてつまらなそうに言葉を吐いた


「そんな考えをするお偉いサマなら、朱点童子を倒したからってはいそうですかおめでとう解けました! って解けるのかと思えちまうよなあ。信頼し難いって感じ?」

「話が戻ってきたわね……」

「これ読んだらなおのこと思えたんだよ。じいさんを導いた神々は、いけすかない匂いがする。おれの直感が言ってる」

「どんな匂いなのよ、と言うか勘で匂えるってどういうことなの?」

「そこはあれだ、ほらあれ……察しろ!」

「梔子……感覚的ものは分かりやすく説明してくれないと、こっちは全く伝わらないわよ」


はあ、と大きくため息を吐いて芥子は眉間を揉んだ。そう困った風に言われても、生憎言葉で説明出来る様なものでは無いから察しろとしか此方は言えないのだ。


梔子の言葉に対し、何度も最悪な展開を否定する様な物言い……やはり彼女は。


「やっぱり、芥子は信じたい派?」

「……そう、ね。私は神の言葉を信じたい。

だって、そうであった方が良いじゃない。梔子も私も皆も、もう戦わなくて良くなるのよ?」


へにょりと眉を下げ、芥子は思うことがあっても、それでも信じたいと口にした。

その気持ちは、とても理解出来るものだ。


(おれだってめでたしめでたしが良い。でもなあ…………)


優しい妹は、戦うことが好きでは無い。それもあって信じたいのかも知れない。

……頭が回るせいもあってマイナス思考になりやすい芥子が、それでも信じたいと言っているのだ。ならば、その思いは尊重するべきではないのだろうか?


梔子は己の中でそう結論を出すと、芥子に向けて両手を上げて見せた。降参だと言うように。


「なあに、その両手」

「こーさんって意味だよ。芥子のその気持ちを歪めることとかしたく無ぇからな。

てかおれ達二人がもしもを一応認識してるんだし、もうこの話はお終いでいいかーってポーズも含めてる」


そう、そもそも梔子が芥子に尋ねた理由はもしもの時に年長の自分達が取り乱さない様、認識させることが目的だったのだ。だから、芥子の気持ちをねじ負けるのは筋が違う。


(どっちも疑う派だとバランス悪いし、これでいっか)


手に持っている祖父の日記を弄びながら、一応議題達成出来たことで梔子はやりきった様な気持ちになる。一月分位の真剣さを出した気分だ。


「はー何か沢山話して疲れた」

「疲れたは私の台詞だと思うのだけれど。突然やって来られて弾丸の如く話掛けられて……はぁ」

「おっ芥子も疲れたとは奇遇だな!

じゃあ気分転換でもしようぜ! あ、そうだ折角だし恒春達に来月の出陣について話に行こう! 絶対喜ぶから!」

「私はまだ調べ物が「ずっと座ってて身体が硬くなった気がする……走って探しに行くか!」ちょっと、人の話を聞きなさい!」


芥子が何か言っているが、この声色はまだそこまで怒っていない時の声だ。梔子は聞こえない振りをして、日記を横に置いて正面にあった自分よりも華奢な腕を掴んで立ち上がった。


「え、っえ、今度は何よ!?」

「思い立ったが吉日……だっけ。そう言うことだ、行くぞ!」

「ちょっと待っきゃあッ!!?」


上手く周囲の棚にぶつからない様に注意しながら、梔子は芥子を連れて書庫を飛び出した。やっぱり自分は、後のことを考えて何かするよりも、こうやって今楽しいことを全力でする方が好きだ。


後ろで足をもたつかせている芥子が転ばないか目配りをしつつ、梔子は恒春と山茶花を探す為に廊下を走り抜ける。ああ、走って目の前に現れたら二人はどんな反応をするだろうか。想像するだけでも面白くってしょうがない!

 

 

1021年 10月 九重楼


f:id:kalino_suke:20191015155005j:image
リアルも10月ですね。来月はいよいよ大江山、今月は若手のパワーアップに専念しようと思います。

 

まずは先月の梔子先生との訓練結果からいきます、こちら!

f:id:kalino_suke:20191015155135j:image

どーん。全体的に良い方なのでは?地味に心で火が一番高いのは先生の影響な気が。

どこもそつなく伸ばしている感じですね

f:id:kalino_suke:20191015155427j:plain

f:id:kalino_suke:20191015155043j:image

今月の指導はお母上である芥子にして貰います。親子で同じ壊し屋なので芥子が教えたいことが沢山ありそうですね!

 

芹「今月はよろしくね、母上」

芥子「こちらこそ。息子だからって甘やかさないわよ?」

芹「わあ、怖いなあ」ニコニコ

芥子(言葉と表情があってないわ….)

 

お次は最近高齢×、じゃなくて恒例○、の梔子の健康度チェックです

f:id:kalino_suke:20191015155035j:plain

この子めっちゃ元気だ….(素直な感想) 

これは一歳九ヶ月までは確定と見ていいですよね….?今までの百鬼家男子は今までも三人居ましたが、皆一歳八ヶ月未満で亡くなりました。梔子は男子最長寿命を更新ですね!

今月は若手達のレべリングなので、梔子は家でゆっくしててくれ~
f:id:kalino_suke:20191015155409j:image

じゃん。こちらが今回の討伐メンバーです。上から六ヶ月、十一ヶ月、九ヶ月、四ヶ月と見事に一歳未満ですね。
今月はこのメンバーで討伐、出来たら大ボス撃破&樒の奥義試し打ちもやりたい所存….
f:id:kalino_suke:20191015155406j:image
f:id:kalino_suke:20191015155010j:image

宗教部門についでとばかりに投資したら、次はいよいよ討伐です。

それでは、当主サマ ご出陣!
f:id:kalino_suke:20191015155349j:image

何処に行くのかは既に決めています。九重楼です。ここには大江山越え前の朱点童子よりも強いと評判の太刀風=ゴローサンと雷電=ゴローサンがいらっしゃいます。ですが彼らは横一列に並んでいるので、列攻撃には弱い筈。樒の奥義、双光樒斬は前列全員に当たる奥義なので大江山前に試してみるのにも良さそうですね
f:id:kalino_suke:20191015155151j:image

赤い火きた!!久しぶりにきた気がする。二つ目にあるのでどこまで持つかは分かりませんが、とりあえず設定をどっぷりに変えて….
f:id:kalino_suke:20191015155359j:image

これでよし!序盤の敵は無視してひとまず七天斎様の居る場まで走ります
f:id:kalino_suke:20191015155311j:image

速瀬をかけてもうダッシュしてたのですが赤い火突入….せめて九重楼に入るまでは持ってほしい;;;
f:id:kalino_suke:20191023085543j:image

これは急ぎ過ぎて敵とぶつかった時のスクショ。澄ちゃんレベルアップおめでとう!!彼女心風が一番低くて上がりにくいんですよね、融通利きにくいタイプでもあるのかな?
f:id:kalino_suke:20191015155413j:image

なんとか赤い火のうちに八起苑に到着….!良かった
f:id:kalino_suke:20191015155156j:image

七天斎様には申し訳ないですが、こっちは急いでいるので早く戦いましょう!
f:id:kalino_suke:20191023085614j:image

拳武器三つでとまりました。全部持っているので、この三つは換金してお金にしましょう
f:id:kalino_suke:20191023085637j:image

まだ一度も奥義を使ったことが無いから試してみたいんですよね……双光樒斬は消費健康度が少ないので、気軽に使いやすいところが良いですよね
f:id:kalino_suke:20191023085640j:image

確か378ダメージだったはず。バフ無しでもやっぱり奥義は強いですね
f:id:kalino_suke:20191023085643j:image

僅かに残ったおじさんの体力はお姉ちゃんに削って貰ってフィニッシュ!f:id:kalino_suke:20191015155058j:image

奉納点ありがとう……(拝む)
f:id:kalino_suke:20191015155126j:image

澄ちゃんまたしてもレベルアップ!蓮美様の子故に心は水が高いですね。体は火が一番高いから物理攻撃力がもっともっと強くなっていきそうです。

 

それでは、倒せましたし中に入って行きます!
f:id:kalino_suke:20191023090248j:image
f:id:kalino_suke:20191023090251j:image
f:id:kalino_suke:20191023090256j:image
f:id:kalino_suke:20191023090254j:image
f:id:kalino_suke:20191023090244j:imagef:id:kalino_suke:20191023090336j:image
f:id:kalino_suke:20191023090323j:image
f:id:kalino_suke:20191023090333j:image
f:id:kalino_suke:20191023090328j:image

皆のレベルアップ記録&最後にお乳母ゲット!

全員一度は成長したのですが、遂に女性陣が男性陣二人と体力にかなりの差をつけてきました。この画像では皆少しずつ体力が削れているせいで分かりにくいですが、それでも上の樒達よりも体力が多いのが分かりますね….
f:id:kalino_suke:20191015155138j:image

鏡進言があったのでつい撮ったもの。澄ちゃんは山茶花に鏡を向けるのかー、年の近いお姉さんなのもあって憧れの対象なのかな?
f:id:kalino_suke:20191015155327j:image

炎が一つになったので、ついに太刀風様たちに挑みに行こうと思います。レベルもかなり上がりましたし、下手な真似さえしなければいける筈….!
f:id:kalino_suke:20191023090414j:image
f:id:kalino_suke:20191023090411j:image

四人の現在のステータスと挑む陣形がこちら。陣形はそのままですね!樒と山茶花の二人が堅いので彼等を前に、恒春達は後列から攻撃して貰います。

それにしても澄ちゃんはこの感じだと体力500いけるじゃないかな?樒もそろそろ400代に乗りそうですし、これくらい体力があるなら朱天童子戦に行ったとしても一撃で死ぬ事は無いでしょう……

 

ですが今は先のことよりも目の前の大ボスです、五郎様たちの元へ突入します!
f:id:kalino_suke:20191015155119j:image

百鬼一族では初めましてな太刀風さんたち。今日はよろしくお願いします
f:id:kalino_suke:20191015155344j:image
f:id:kalino_suke:20191015155101j:image
f:id:kalino_suke:20191015155308j:image

樒「悪いがこっちが分かるように話してくれ、ほぼ意味が分からなかった」

恒春「よく分かんないけど、またオレ達一族は天界の何かに利用されてるってことじゃない?」

澄「また、じゃなくて、元から勇者として使命を受けてることを言ってるんじゃないかな。

確かひいおじいちゃんがそんな感じのことを言われたんだよね?」

山茶花「ううん……それは気になるわ。でもみんな、まずは戦いに集中しよう?二柱が困ってるわ」

「「「ああ/はーい/うん」」」

 

太刀風五郎(自由だなァ、こいつら)

 

澄ちゃん以外は大ボス戦を一度は経験していますし、最初ほど肩肘を張らずにいてそう。恒春も春菜様との触れ合いで変わってきているので、今回は前よりも余裕があると思います。初めての澄ちゃんも落ちつけているのは、きっと周りがどっしりと構えているからでしょうね。

f:id:kalino_suke:20191023090750j:image

ドーピング薬はありがたい!絶対にゲットします
f:id:kalino_suke:20191015155052j:image

初手は恒春から。一番手にどちらかを攻撃しようとしているのは、この戦いを楽しむ為の小手調べのつもりなのかな?

そこも気になりますが、それよりも鏡。鏡ですよ恒春くん

f:id:kalino_suke:20191022215659p:image

こちらは先程の澄ちゃんの鏡進言

f:id:kalino_suke:20191015155138j:image

どうしてみんな樒には向けてあげないん?

f:id:kalino_suke:20191023170737p:image

澄ちゃんは対抗心から、恒春は兄としてのプライドからでしょうね。妹は色々呑み込んでまだ良いけど、同性の弟に向けるのはプライドが許さない。みたいな?

 

さて話変わって今回の作戦ですが、今回は樒に攻撃バフを積んで奥義で決めて貰おう作戦です。

作戦名がそのまんまなのはスルーでお願いします。もしバフを積み終えた状態で奥義を決める前に他のメンバーに出番が回ってきたら、その時は鏡で写して次に備えます。確実に奥義だけで決めれるかは分からないので、無理だった場合は攻撃力を写した子も攻撃して貰います。

 

これだけ体力があれば竜巻や落雷がきても直ぐには落ちないはず、です。なるべく早く攻撃力を上げて、五郎さんたちを迅速に討ち果たします!

f:id:kalino_suke:20191023091012j:image

まずは恒春。この中で唯一萌子が使える彼には萌子を

f:id:kalino_suke:20191023091032j:image

77アップ!いい上がり具合です

f:id:kalino_suke:20191023091009j:image

お次は澄ちゃん。澄ちゃんは樒に軽い対抗心を持っていますが、TPOはきちんと弁えられる子。武人を樒に!
f:id:kalino_suke:20191023091015j:image

雷電五郎さんの攻撃が樒に!しかし彼は堅かった!!この時何故か腹筋で攻撃を受け止める樒が脳内に浮かんだプレイヤー。駄目ですね、私の頭の中がギャグ一色です。

きっと脳内と違ってゲームでは樒が薙刀でいなして頬を掠ったとかでしょう!
f:id:kalino_suke:20191023091025j:image

ここでやっかいな竜巻攻撃が……!
f:id:kalino_suke:20191023091035j:image

陽炎もなにもしていないので全員竜巻攻撃の餌食に。耐えてくれ……!!

f:id:kalino_suke:20191023091128j:image

先に雷電五郎さんの攻撃を受けていたのもあって、樒はほぼ半分体力を削られました。これは危険……!しかし出番は彼に回ってきています、臆して守りに入らず攻めに回ります!
f:id:kalino_suke:20191023091018j:image

現在の樒の攻撃力です。f:id:kalino_suke:20191023090414j:image

約200も上がっていますね。これなら大ダメージを与えられそう……!

双光樒斬、いきます!!
f:id:kalino_suke:20191023091028j:image
f:id:kalino_suke:20191023091005j:image

ダメージの瞬間はスクショに失敗しましたが、一人あたり760ほどダメージが入りました。彼等の体力は太刀風さんが600、雷電さんが650なのでオーバーキルですね!凄い!f:id:kalino_suke:20191023091022j:image

奉納点も心火薬も手に入れてほくほくです。恒春がレベルアップしました!

この心よ上がりようをみると、恒春は決して優しい訳では無いんだろうなと感じます。でも常識や良識を理解していて、それを重んじるべきだと考えているからこそ“楽しみたい!”“暴れたい!”と思う己の本能と齟齬が起きて悩んだりしたのかなー。複雑な子だ……
f:id:kalino_suke:20191015155424j:image
f:id:kalino_suke:20191015155029j:image

澄「ご指導ありがとうございましたー!

しーちゃん、次は私も攻撃する側になりたい!」

恒春「……オレも。澄と同じ意見」

山茶花「兄さんさまも?

それじゃあ私も、澄ちゃんたちと以下同文ってことにしようかなあ」

樒「…………ちゃんと後で話を聞く。だから回復する暇をくれ」
f:id:kalino_suke:20191015155330j:image

一人体力を半分まで削られて健康度注意状態な樒。初めて挑んだ大ボス戦の片羽のお業さんの時と比べて、本当に余裕を感じられる様になったと言うか。

樒の体力を回復したところで討伐は終了です。
f:id:kalino_suke:20191015155040j:image

樒「問題無い。ただいまイツ花」

澄「ただいま!」

 

 

あたたかい かみさま

りいんと、視覚を閉じた暗闇の世界で耳から脳髄、爪の先まで響きわたる鈴の音。この音は、イツ花言っていた合図の音だ。己の前で舞い踊っていた彼女の気配が消え、肌に触れる空気はじわりと刺す暑さから心地の良いものへと変化していった。
一つ、二つ、三つと、心の中で十数え終わると、恒春は息を吐き出してゆっくりと瞼を開く。


「……場所は違っていても同じ天界だからかな。なんか、懐かしい感じがする」


交神の儀式の舞を受けている間ずっと座っていたせいか、数十分振りに立ち上った己の足は若干の痺れを訴えている。
だが今の恒春はそんな痺れよりも、己の瞳に映る壮厳な自然に見惚れるのに忙しかった。


誘導するが如く真っ直ぐに伸びた赤土の山道と、その左右には樹齢百年以上はありそうな立派な大樹達が幾重にも連なって佇んでいる。ここまで立派な大樹を生まれて初めて見た恒春は、ただただ感嘆の声を上げることしか出来なかった。


(どれくらいの年月を掛けたら、ここまで大きくなるんだろ….)


思わず手前にあった木を触ってみたところで、恒春は本来の目的を思い出して手を止めた。こんなことをする為に自分は天界に来たのでは無い、頭を左右に振ってズレた気持ちを切り替える。


自分のすべきことを頭の中で復唱する。
今から己は子孫を残す為に交神をする。交神する相手の神の名は木曽ノ春菜。イツ花曰く、木曽山脈に関係のある神らしい。だから恐らく、見るからに関係ありそうなこの山道の先に彼女は居るのだろう。


『いいですか恒春様。交神の儀でイツ花に出来ることは、お相手の神様の神域付近に一族の方を送ることだけ。
神域内は神々の居住区ですから、その中までお連れする力はイツ花には無いンです。
ですんでェ、天界に着いたらコレだ! って言うそれっぽい神域への道があるとは思うので、その道を進んで行ったら恐らく大丈夫です! はい!』


ぽい、や、とは思う、と言う言葉に些かの不安はあるが、イツ花の言葉通りならこの先の筈だ。ほんの少し湧き出てくる“もしこの道が間違いだったら….”何て弱気を押し退けて、恒春は一歩また一歩と、慎重に一本道になっている山道を歩み出した。


斜面になっている山道を進むのは中々鍛錬になりそうだ。奥に進むに連れて深まる緑や、時折顔を見せる山花に目移りすることも無く、恒春は真っ直ぐに伸びた道をただ只管に歩いて行く。
地面、木、草、時々花。代わり映えのほぼ無い道を進んでいると、まるでこの世に己一人だけと勘違いしてしまいそうな位に生き物の気配を感じないせいなのか、それともこの地がそういう何かを思い起こさせるモノでもあるせいか。
今現在己にしこりと化して蝕んでいる感情やそれを心配する周りの声が、何故か今、ふつふつと心の中で思い浮かんでは自分に囁いて来る。
まるで、いつまで見ないふりをするのと言っている様だ。


『———ねえ恒、私で良かったら話して? ここのところ、様子がいつもと違うのはどうして?』


大丈夫、何でもないから。気にしないで。


『隠してるつもりだろうけどさあ、悪ぃけどおれ達はそっと無視してやる時間が無いんだよ。教えてくれよ、何があったんだ?』


何のこと? 別に普通だよ。放って置いて。


『伽羅姉さまが亡くなる少し前くらい…、よね。兄さまが時々、暗い顔をする様になったの』


そう心配しなくて大丈夫だよ、悲しんでただけだから。でももう立ち直ってるよ。


この場にいない家族達の、自分を案じる声がする。実際に伝えられた言葉もあれば確かに彼等が言いそうな言葉もあったりと、多種多様な心配の声が次々と己に問いかけて行く。
それを振り払うが如く聞こえる声を何度も何度も拒絶して、恒春はかの神に会うために歩き続ける。……そうやって、ずっと拒絶し続けたせいだろうか。聞こえる声が、自分のものへと変化していた。自分の触れて欲しく無い軟いところを、それは執拗に剥き出しにして見せつけてくる。まるで、見て見ぬ振りをやめろと言っているかの様に。


『————家族の死への足音を間近に聞くまで死を理解出来ないヒトデナシ。
それなのに、生死を賭けて戦うのは好き? 生きるか死ぬかの綱渡りが大好き? 
そんなことが出来るのは生死を、命の尊さを理解していないからじゃないの。なあ、命をなんだと思ってるの?』


….うるさいな、そんなこと無い。オレは可笑しくない。確かに姉さんが死ぬまでは理解できていなかった。でも今はちゃんと、命は有限なモノなんだって分かってる。


『ウソを付くな。ずぅっと覚えているんだろ? 鬼を貫いた時のあの感触を、叩き潰した頭蓋の音を、切り裂いてまろび出る臓物の色を。
……思い出す度に湧き出る、その感情はなんだ?』


伽羅姉さんはオレを可笑しくないって言ってくれた。兄さんも芥子達も、きっとそう言ってくれる。オレだってそう思ってる。だから、オレは、


『可笑しくないって? ウソはダメだよ恒春。だってジブンが一番可笑しくないって信じきれていないクセに。
あーあ、皆が可哀想。こんなクズを心配するなんて、時間が勿体無いって思わない? 施しを与える価値も無いって思わない?
ねえ、そう思うだろ? 自分の本音をいつまで否定する!!!?』


ばしんと、音が立つ程強い力で両耳を塞ぐ。聞こえない、これで何も聞こえない。オレは普通だから何とも思わない、感じない、気にしない。
ゆっくりと息を吸い込み、ぐるぐると己の中で渦巻く感情と混ぜ合わせたら、少しずつ吐き出す。嫌なモノ全てが、一緒に吐き出されて消えて行くイメージをする。所詮気のせいだろうが、こうすると少しだけマシな気持ちになれる。


(一人だからかな、嫌なことばかり考えてしまう……落ち着け、落ち着こう)


両手を外し、いつの間にか強く閉じていた瞼も開けて前を見てみると、目の前には今まであった山道とは打って変わって大きな社がそこにあった。
こんな目前に来るまで分からなかっただなんて、と考え込んだまま歩いていた己の不注意さを恥じる。


此処が、かの神の神域なのだろうか。きょろきょろと辺りを見回してみると、斜め前にある柱が、離れた所にあるもう一本の柱と繋がっていることに気付いた。恒春は一歩後ろに下がって見たことで、これが何なのかを理解した。これは鳥居だ。近付き過ぎたせいで、ただの太い柱と勘違いしていたらしい。


「鳥居……ってことは社名が書いてある筈。名前、名前……」


更に数歩下がったことで、鳥居の中央額柱に飾られた神額が見えた。目を凝らして見ると、神額には達筆な文字で“木曽ノ春菜”と書かれている。良かった、自分は間違えずにかの神の社へ来れた様だ。


不安は杞憂でしか無かったのだ。その事実に肩の荷を下ろしていると、くすくすと軽やかに笑う声が、どこからか吹く風と共に耳に入る。
一体誰が、どこで笑っているのだろう。辺りを見回していると、今度はこっちよ、と己を呼ぶ声が聞こえた。どうやら声の主は、鳥居の向こうに居るらしい。奥の方から聞こえたから間違いないだろう。


「はじめまして、こんにちは。私を選んだ人」


その人……いいや、その神は、拝殿の壁に寄り掛かりにこりとこちらに向かって微笑んだ。牙の様な耳飾りと白い毛皮の帽子から覗く黒い襟足、木苺みたいな赤い綺麗な瞳は柔和に細められ、日焼け知らずの白い手は、おいでおいでと恒春を手招いている。


突然現れた彼女に驚いてしまったが、ここは彼女の領域だ。きっと自分が近くまで来た事に気付いて、それでやってきたのだろう。
そう己を納得させると、恒春は春菜の近くまで歩み寄る。交神相手である彼女を前にどこかおっかなびっくりとしながら、恒春は問いに答える為に口を開いた。


「….はじめまして。百鬼恒春です。木曽ノ春菜….様、ですよね?」
「ええそうよ。恒春、私のことは春菜と呼んで?
これから暫く共に居るというのに、そんなに固まっていられたら困るもの。勿論、敬語もいらないわ」


口元に手を当てて優しく笑う彼女の姿に、それじゃあ……と敬語も敬称も止めることを口にする。
己の母である春野鈴女も随分気さくな女神だったが、彼女もかなり話しやすい神である様に恒春は感じた。
芥子の母の東風吹姫、伽羅の父の愛染院明丸等は、自分達が想像する様な神様らしさがあったと聞いていた。彼女もそうだった場合を想定していた恒春は、春菜が想定外に気さくな神な事実に何処か安堵を覚える。気張っているのは、余り得意では無い。


自分はこれから一ヶ月ここに滞在するのかと、周りを見てみようと彼女から視線を逸らそうとした瞬間、目の前に居た春菜に手を取られた。
突然何を、と口にする暇も無く、彼女は拝殿を越え奥にある壮言な佇まいの本殿へと恒春の手を引いて連れて行った。


「ちょっと、あの、春菜……さん?! どうしたの!?」
「春菜でいいと言ったことをもう忘れたの? さん付けもダメよ」
「じゃ、じゃあ春菜! どうして急に歩き出したか教えて欲しいんだけどっ」


ばたばたとお互いに縺れながら靴を脱いで中へ入ったところで、春菜はやっと止まってくれた。
鳥居、拝殿と神社の作りをしていたからこの建物は本殿かと思っていたが、中はまるで人間の生活空間の様だ。現在自分達が居る板の間から廊下に続き、奥には畳の間と広がっているのが見える。
だが同じ生活する場と言っても、我が家とは比べ物にならない程に家具も床も天井も新品さらながらに真新しく、不思議と何処か壮言な空気を纏っていた。神である彼女の居住区だから、こう感じてしまうのだろうか。


此方を振り返った彼女は何故か気まずそうに恒春から視線をずらし、まるで見た目相応の少女の様な表情で、どうして走りだしたのかの理由を語り出す。


「……ごめんなさい。東風吹姫やくららから、貴方達一族との交流がとても楽しかったと聞いていたから……それで私も早く恒春と話がしたくて……。
ここまで登ってきて恒春は疲れているでしょう?
だから早く中に入って、沢山貴方と喋りたかったのよ」


でも何も言わずに走りだしたのは良くないわ、ごめんなさい。再度縮こまりながら謝る春菜に、恒春は思わず吹き出して笑った。何か、緊張していた自分が馬鹿みたいだ。何処か人間らしい行動を取るこの神様と、春菜とは仲良く出来そう。先の行動は、そう思わせるだけの安心感が不思議とあった。


肩を震わせて笑っていると、春菜は少し心外そうにそっぽを向いた。その態度もまた、まるで人の様だ。


「ふっふふ、ごめん、ちょっとツボに入った….!」
「……気が急いていたのは悪かったと思っているわ。でも笑うことはないでしょう?」
「うん、っごめ、ごめんね?」
「そう思っているのなら、いい加減笑うのをやめてちょうだい」


視線を合わせてくれないままでいる春菜は、笑いながら謝る恒春の態度のせいで更にそっぽを向いて行く。そんなところも……と思わなくもないが、これ以上機嫌を損ねてしまうのは、使命を持った百鬼家の一人としても、ただの男としても頂けない。
女の機嫌を損ねていいことは無い、これは短い生の中で姉に妹についでに兄に揉まれたせいで培った恒春の経験論だ。


だが、自分はそこまで気の利く人間では無い。こんな時どうやって機嫌を戻してもらえば良いのかだなんて、頭を捻っても思いつかない。


(素直に謝る? でも三度目の謝罪なんて薄っぺらいだろうし…即座に機嫌を良くして貰える様な術なんて分からないし……こういう時、兄さんならどうするんだろ。あの人社交力だけは無駄に高いから、参考に良いかも)


僅かの時間逡巡した結果、恒春は我が家でコミュ力の頂点に立つ兄の真似をすることを決めた。そう決めたら、自分や芥子達が怒ったり拗ねた時、梔子がいつもしていた動作があったことを思い出す。


ああ、そうか、そうだった。兄は怒る自分や芥子に対して良くしていた仕草があった。これをやれば良いのかも知れない……!


閃くことが出来た恒春は、直ぐに行動に起こす。
両腕を組んで明日の方向を見ている春菜の頭に手を乗せて、軽く数度撫でる。再度謝罪の言葉も付けることも忘れない。
突然撫でられた春菜はと言うと、そんなことをされると思っていなかったのか、目を見開いてぎこちなく恒春の方へと振り返った。……彼女はもしかして、自分が思う以上に表情豊かなのかも知れない。


「ッ!? な、恒春、どうして撫でているの….?」
「……ええっと、な、撫でたかったから….?
春菜、本当に笑ってごめんね。許してくれないかな……?」
「………いい、それはもういいわ….」


何故と聞かれても、兄の真似でなんて情けないことは言えない。そのせいで、こんな斜め上な回答しか出来ない。
これ以上聞かれても困る故に誤魔化しと反省を込めて撫でていると、ほぼ対等の位置に映る彼女の顔はみるみるうちに赤くなった。春菜はぼそりと小さな声で恒春の謝罪を受け入れると、今度は下を向いて顔を伏せてしまった。


(ダメだ、オレも恥ずかしくなってきた……平常心、平常心……!)


……そうも照れた態度を取られると、こっちも釣られてしまうのは仕方ないことだ。妹や弟等の家族ならともかくそれ以外の、ましてや異性の頭を撫でるなんて経験はこれが初めてなのだ。


「……」
「……」


お互いが赤くなってしまったせいで、妙な空気になってしまった。取り敢えず撫で続けているのは失礼だから、恒春は触り心地の良い春菜の帽子から手を退けた。
数秒程気まずい沈黙を過ごした後、お互いにぎこちなく、まるで油を刺していないブリキの様な動作で改めて顔を見合わせる。恐らく自分だけでなく彼女も、このまま固まっていてもどうしようもないと察したのだろう。


「ん゛んっ、……恒春」
「なに?」


春菜は仕切り直す様に咳き込むそぶりをすると、どう見ても無理矢理作った笑み浮かべて話しかけてきた。


「これは私個神がしたいことでしか無いけれど….私はね、恒春。交神するにあたって、お互いのことをよく知りたいと思っている。知った上で恒春と交神をしたいと考えているわ。
だから貴方にこの地を、私を知って欲しいと思って……….そ、それではしゃいでしまったのはとても反省しているのだけど」


思い出して顔が赤くなりそうなのか、春菜は一度口を閉ざして手で顔を軽く扇いだ。
ぱたぱたと数度扇いで落ち着いたらしい彼女は、次の言葉を待つ恒春の袖を引いて、少し前へと歩み出す。


「気を取り直して、まずは立ち話もなんだから、奥に入りましょう?
貴方と落ち着いて話す為に、場所と菓子を用意していたの。
ああそれと、恒春が一月過ごす上で必要そうな物も粗方揃えているわ。
ふふ、……私ね、本当に恒春と話すのが楽しみだったのよ?」


見た目相応の少女染みた破顔した笑みを浮かべると、春菜は再び恒春の袖を引いた。
何処かそわそわとしている様子を見るに、本当に自分が来るのを待ち遠しく思っていた様だ。……直球にそう告げられると、正直照れくさいものだ。


何故だか上手く顔を見れず、視線を逸らしながら恒春は袖を引かれていた腕を持ち上げて春菜に向かって手を差し出した。こうまで言ってくれたのだ。ならば何かしら自分もやらないと、楽しみにしてくれた彼女に釣り合わない。


春菜は持ち上げた時に引くのを止めた己の手と差し出された手を交互に見て、きょとんとした顔へと変化していく。


「恒春?」
「……オレも、春菜と同じ気持ちだよ。せっかく大勢いる神の中から、オレは君を選んだんだ。君は、それに応えてくれたんだ。だからオレも、君を知ってから子を得たいと思った。
…….だから….だからその、さ、」


彼女の前に出した手のひらが、背けている顔が熱い。二の句を早く告げないと、不審がられてしまう。だが、その言葉は羞恥のせいで喉から中々出て来てくれない。しかしこのまま目を合わせずに言うのはなおカッコ悪い……!


(向こうが歩み寄ってくれてるんだから! 良い神様じゃん! 気が合いそうな神様だ!
だからオレもそれなりの態度を取るべきなんだから!! ああもう早く言えよオレ!)


このままでは埒が明かない。意を決して春菜と視線を合わせると、彼女は本当に不思議そうに首を傾げていた。ごめん春菜、急に手を出して赤くなったりして。意味分からないよね。意識し過ぎだよね分かってる。……手汗をかいてきた気がしてきた。


「その、ね」
「? ええ、どうしたの」
「………手、つないで行こう、よ」
「……!」


言った。言い切った。声は震えていたし、段々目を合わせるのが気恥ずかしくて逸らしてしまったが、それでもしたいことをはっきりと口に出来た。
突然の恒春の言葉に驚いたのか、春菜は固まってしまった。だがそれでも、言えたのだから良しとしよう。


だが言えて達成感に満たされた恒春の脳内は、中々返答をくれず口を閉ざしている春菜の様子によって不安へと塗り潰される。もしかしてスベってしまったのだろうか……そんなまさか….。


(どうしたんだろ、何も言ってくれない。やっぱり歩み寄るとしても、手を繋ごうって言うのは可笑しかった……?
………そう、だよね、冷静に考えればただ歩けば良いだけだし、知る必要はあっても手を繋ぐ必要は無いよね……? 
どうしよう、完全にやらかした。今すぐこの場から走り去りたい….誰でもいいからオレを殺して….)


赤くしていた顔を青くしていったりと、忙しない表情変化を見せながら恒春は徐々に手を下に降ろそうとしたその時。そっとその手を、彼女が握ってくれた。
驚き共に春菜の顔を見ると、彼女は照れくさそうにはにかみ、確認するかの様に手の平を合わせて握った両手を見つめていた。


「こうやって誰かと手を繋ぐのは初めてだけど……恒春の手は、とても温かいのね」
「え、あっう、うん。生きてるし….?」
「ふふ、そうね。恒春は生きているから温かいのね」
「そ、だね……?」


恒春が生きている事実が面白かったのか、春菜は何度も手を握ったり撫でたりして楽しそうにしている。照れるからやめて欲しい様なそうじゃない様な、そんな複雑な気持ちになる。


「春菜。その、そろそろ中に入らない?」
「ああ、そうよね。何度も触ってごめんなさい。
用意した場所は恒春に生活して貰う予定の部屋に近いのよ。どちらも屋敷の奥の方だから、ついでに色々と案内するわ」


まずはこっちと手を引く春菜に連れられて、恒春は屋敷の案内を受けた。世話になる上で必要となる食事の場や風呂場、ついでに広間や炊事場等々、一ヶ月の間に行くことがありそうな場やそうでない場所も全て教えてくれた。案内している春菜が兎に角楽しそうで、可愛いな……なんて思ったのはここだけの話。


彼女の従者達の紹介も受けた。山に関する神である春菜の従者だからか、誰もかれも花や何かの枝をその身に付けていたが、そんなことよりも従者達のほぼ全員が自分達を興味深そうに見て来てことに疲れを覚えた。
……はっきりと比較出来る対象が母の春野鈴女の従者達しかいないが、そう言えばあそこの従者もこんな感じだった覚えがある。悪意は感じなかったが興味と好奇心でもみくちゃにされた。今ではいい思い出でだが、当時はとても疲れていた覚えがある。
従者とは皆こういう存在なのだろうか。……多分、紹介して貰った時も手を繋いだままだったのが大いに関係している気はしている。いや絶対これのせいだろう。


案内してくれたどの部屋も兎に角凄かった。まず広さからして自分の家や近所にある家と比べ物にならず、何処もかしこも美しく埃一つ落ちていないんじゃないかと思う程綺麗だった。こんな時に凄い、や広い、としか言えない己の語彙の無さが恨めしい。
我が家で一番博識な芥子だったら、きっともっと相応しい表現で表してくれことだろう。しかし恒春が言えることは、神の住む場所は凄い、くらいである。


そうして様々な部屋を案内して貰い、最後に漸く己が世話になる部屋と、彼女が用意してくれた場所へとやってきた。この場に関してはもう、圧巻の一言しか言えない程の美しさだった。


「わあ……!」
「どうかしら。気に入って貰えると嬉しいのだけど……」


用意された、これまた広い己の部屋の庭から覗く庭は、秋らしく赤々と萌える大きな紅葉の木達が生えており、地面は紅葉の葉によって真っ赤な絨毯を敷かれているかの様だった。
ここまで立派な紅葉を見たのは生まれて初めてだ。


「当たり前だろ。気に入らないなんて無理だよ!
ありがとう春菜、こんなに綺麗な景色は初めて見た!」
「っ本当? 良かった….」


これは家族達にいい土産話に出来そうだ。ほっと胸を撫で下ろしている春菜を余所に、恒春は縁側まで行くと食い入る様に外の景色を眺めた。
京の紅葉も確かに赴きがあって綺麗だったが、今が9月上旬と夏の名残りがある時期のせいでまだまばらに色がついている程度であった。きっと自分が地上に帰る頃には、京の紅葉も美しい朱色に変わっていることだろう。その時は見比べるのも楽しいかも知れない。


赤く染まった天の色を顔を上げて見渡していると、春菜が手を離して縁側から降りた。踏み石て屈んで何かしている姿を不思議に思って覗き込むと、屋敷に入る時に脱いだ筈の靴を彼女は履いていたのだった。春菜の隣には恒春の草履も踏み石に置いてある。


「その靴….それにその草履も。オレ達のだよね?」
「ええそうよ。案内の途中で、あの子達に履物を此処に置いておく様に頼んでいたの。話をする為に用意した場所はこの先だから。
さあ、行きましょう恒春」


菓子もあの子達が用意してくれていると思うわ。靴を履き終えて踏み石を降りた春菜は、再び繋ぐ為に恒春に手を差し出した。
また手を繋ぐという行為に気恥ずかしさを覚えつつも、恒春は彼女を待たせない為にも慌てながら草履を履き、また春菜と手の平を合わせて繋いだ。二人の視線の高さはそう変わらないのに、やはり異性だからか、繋いだ彼女の手は自分よりも小さい。


「縁側からは見えなかったけど、ほら、あそこ。東屋があるでしょう?
あそこから見える景色もまた一等良いの」


春菜が指さした先には、五角形の屋根の東屋が見える。なるほど、庭に降りて少し歩いたところにある故に見えなかった様だ。
手を引かれ、東屋に入り春菜と隣り合って長椅子に座る。椅子の前に設置されている長方形の机にはお茶と団子が二人分置かれていた。お茶は淹れたばかりであることを証明するかの様に熱い湯気を出していて、手に取り不躾ながら指先で触れた団子もまだ軟らかい。恒春達が来る直前にでも用意したのだろうか。


此処までずっと歩いていたのもあって、恒春は正直小腹が空いていた。春菜と繋いでいた手を解き、自分の為に用意された三色団子二本のうち手にしていた一本を一口食べてみる。流石神の領域の食べ物だからか、頬が落ちそうな位に美味い。
その食べた幸福感で顔が緩みそうになるのを堪えながら咀嚼していると、隣に居る彼女にじっと見られていた気配に気付いた。


「……無視して団子に夢中になったりしてごめん」
「いいえ、恒春が美味しそうに食べている姿を見るのはとても楽しいわ。折角恒春の為に用意した物なんだから、何だったら私の団子も食べる?」
「そんな食い意地の張ったマネはしないよ….」
「あら、そう?」
「うん。その団子は春菜が食べて.…」


面白そうに此方に団子を向けていた春菜は、そのまま自分の口の中へ一つ放り込む。口元に手を添えて行儀良く食べている彼女の隣で、恒春は一本食べ終えるとお茶を飲んでほっと一息ついた。
まだ一日が終わるまで時間が随分あると言うのに、この神域で見たもの出たもの全てが印象的だったせいで、もうまる一日分のやる事を全て終えた様な気持ちになってしまう。


(ってダメだ、これから沢山お互いの話をするんだから。しっかりしろ、オレ)


落ち着いて緩みそうになった己を引き締める為に、恒春は隣に座っている春菜に変に思われない様小さく深呼吸をして背筋を伸ばした。急に姿勢を良くしたことを不思議に感じていないか春菜の様子を盗み見ると、彼女はまた楽しそうにじっと恒春を見詰めている。
先程や今といい、そんなに自分は見ていて面白いのだろうか.…?


「春菜、勘違いだったら悪いんだけどさ」
「ん? 何かしら?」
「視線を感じるというか….オレ、そんなに見てて面白い?」
「……私、恒春が気にする程見ていたの?」


頷いて肯定すると、春菜は照れくさそうに頬を手を当てた。彼女はそれを誤魔化す様にはにかむと、何故恒春を見ていたかの理由を話し出した。


「不躾にじろじろ見てごめんなさい。恒春が本当に私の隣に居るのが何だか不思議な心地で……それで無意識に見ていたのだと思うわ」
「ううん、気にしてないよ。それより、オレが隣に居ることって不思議な感じなの?」
「ええ、私にとっては。
……..私はね、恒春。恒春が私を交神相手と選んでから、よく貴方を見ていたのよ。
だから上からでは無く隣に居る事実に少しだけ、不思議な気持ちになってしまうの」


嬉しそうに笑う春菜とは裏腹に、恒春は思わず冷や汗が背筋に流れる感覚がした。見ていたとは、一体どこら辺を見ていたというのだろう……?


恒春が春菜を相手として決めたのは月の初め。それから色々と準備をして数日経ち、今日やっと交神の為に彼女の元にやってきた。恐らく一日二日以上は見られていた筈で……ここ最近の己の様子を振り返り、変なことをしていなかっただろうかと頭を巡らせる。


思考を巡らせる為に、言葉を返す余裕の無くなった恒春。それを見て春菜は、自分がしたことで不快な気持ちにしてしまったのかと不安そうに眉を下げた。


「その、恒春、」
「(最近オレは何してたっけ普段通りだったよねそうだきっとそ….)へ?
あ、何かな?」
「ごめんなさい。ずっと見られていただなんて、不快だったでしょう….?」


春菜はしゅんと縮こまりながら謝った。恒春は慌てて手で制止させると、そんなことは無いと告げる為に口を開く。


「不快になんて思ってないよ。ただ単に、春菜が見ている間に変なことをしているかを気にしていただけ。だから謝らないで?」
「そう、なの……?」
「うん。だいたい、天界の神々がオレ達を見てることがあるなんて知ってるからさ。だからどうとも思わないよ」


見られている事実を認識したのは、確か初代だっただろうか。それとも二代目達だっただろうか。かつて交神の為に天界に行った祖先の誰かが、我々一族を余興として見ている神や、ただ純粋に見守る神が居ると言う事実を持って帰ってきた。
それが本当かどうかは、恒春には分からない。だがかつて幼き日に母の元で暮らしていた頃、恒春は母と共に地上に居る家族を上から見たことがあった。今を生きている家族達の中にも、親の神の元で地上に生きる人々を見せて貰った者が何人か居る。


だからまあ、“祖先が言っていた言葉は本当の可能性は高いのでは?”程度に恒春は考えいている。


春菜に見られていたことについては、これから交神する相手な彼女に見られても恥ずかしくない生活を送っていたかどうかは気にしているが、見ていた事実についてはそこまで気にしていないのだ。そこは間違えないで欲しい。
その事実を懇々と春菜に説明すると、彼女は安心したのか、ほっとした顔をして見せた。


「そう、それなら良かった….」
「本当に平気だからね。
….それよりも、オレは君から見て変なことはしてなかった? そこだけが不安なんだ」
「いいえ? 何も変に思うことはしていなかったわ」
「本当? あー良かった….」


人心地が付いて肩を下ろすと、恒春は少し温くなったお茶を飲みもう一本の団子を食べた。うん、やはりどちらも美味しい。
横でお茶を飲んでいた春菜は、恒春が団子を一つ食べ終えたの見計らい、そわそわと楽しそうに話し掛けて来た。


「ねえ、恒春。お茶も飲んでお菓子も食べたのだから、少しは休息は取れた?」
「え? そうだね、凄く美味しいし景色は綺麗だし……おかげで、疲れは吹き飛んじゃったかも」


冗談ぽく大げさにそう言うと、春菜は更にそわそわとし始めた。彼女は目を光らせて、それじゃあ….と此処に来た本題をやっと話しましょうと口にする。


「じゃあ沢山、沢山貴方の話を聞いてもいい?」
「いいよ。でも勿論、オレだけじゃなくて春菜も話してね」
「ええ、分かっているわ。
それじゃあ、まずは恒春の話を聞いても? 
此処からも見ていたけど、恒春の視点から、恒春のことを知りたいの」


きらきらと目を輝かせて、春菜は恒春のことを教えてれくれと言う。真っ直ぐに自分のことを知りたいと言われるのは、やっぱり少し照れ臭い。でも、悪い気はしない。


「分かったよ。でも自分のことって、どんなことを話せばいいのかな….改めて考えると、何だか難しいね」
「ふふ、そうね。私も貴方と話しているうちに、何を話すか考えておかないといけないわね。
最初は….そうね、まずは恒春の家族について教えて? 家族について知れたら、その中で育った恒春についても、きっともっと知れると思うから」


“ねえ、恒春の家族はどんな人達なの?”、春菜は両手を胸にあてて、今か今かと恒春が話し出すのを待っている。
期待する話を出来るかは正直不安だ。だが自分を知って貰う為にも、恒春は脚色が入らない様に気を付けながらも、見て、聞いて、話して、そうやって共に過ごして来た家族につてい語った。





「—————……へえ、春菜の山々にはそんなに沢山植物が咲くんだ。きっと綺麗だんだろうね」
「時々で見頃の花は様々だけど、どれもとても美しいのよ」
「凄く自信満々だね。いいな、春菜がそこまで言う程美しいのなら、もしオレが生きているうちに呪いが解けれたら見に行きたいな」
「……ええ、その時は絶対に歓迎するわ。」
「あはは。うん、もし解けたら行くよ。約束する」


本当に、彼女は不思議な存在だ。人間で無い、自分の呪いを知っているが家族でも無い、人知を超えた神という生き物。恒春の事情を理解しているが近しい存在で無いのと、彼女自身の気質が己に合っているからか。気が付けばもしも、何て不確かな口約束をしてしまう程に心を許していた。


もう何時間この場で話しているのだろうか。ここには時計が無いから、紅葉の隙間から覗く日差しで計らないといけない。恐らくだが二、三時間は喋っていたと思われる。
自分の話をした、春菜の話もした。互いの今までを、これからの一月何をしたいかを、沢山沢山語り合った。此処の所悩みや自己嫌悪に暮れることが多かったせいか、こんなに楽しいのは久しぶりに感じる。


大いに話に花を咲かせてはお茶を飲んで一息を吐く。何度それを繰り返したか分からなくなった時のこと、春菜は飲み干した湯呑を膝の上でぎゅっと握り、ぽつりと呟いた。


「……ねえ、恒春。教えて欲しいことがあるの」
「教えて欲しいこと? なに?」


何だろうとぼうっとしている自分に対して、春菜は何処か緊張した面持ちでゆっくりと、その口を開いた。


「此処から恒春を見ていた時からね、ずっと思っていたことがあるの。
……それは恒春にとって踏み込まれたくない問題かも知れない。
だけど私は、はこうやって貴方と話すうちに、 見ていた時よりも更に貴方に惹かれたの」
「ぅえ゙!?」


さらっと凄く心臓に悪い発言をされて、恒春の顔を一気に真っ赤に変化する。だが春菜は凄い発言をしている自覚が無いのか何なのか、神妙な顔のまま恒春を気にすること無く続きの言葉を紡ぐ。


「家族が好きで、人を思いやることが出来て、でも少しいじっぱりになることもある、そんな愛おしい貴方に。
……恒春が地上で、顔を曇らせている姿を何度も見たわ。家族から心配されている姿も。
私は、貴方が何か悩んでいることを知っている。出会って一日も経っていない存在に言いたく無いでしょう。
でも、だからこそ。私は恒春ととても近しい存在じゃない、一月限りの関係で、同じ人でも無く神よ。そんな存在だからこそ、打ち明けてみるのに丁度いいと思うの」


息を付き一度言葉を区切ると、春菜は胸元を握り締めて、意を決したかの様に真っ直ぐと恒春と視線を交わらせた。


「だから教えて欲しいの、恒春が何に悩んでいるのかを。お節介でも迷惑でも、私は貴方の力になりたいから」


言い連ねる全てに、恒春への思いやりが見える。だが恒春は己の弱さを知られていたことへの動揺が大きく、目を見開くことしか出来なかった。
どくり、心臓が大きく脈打つ音が聞こえた。春菜が覗いていたと教えてくれた時からもしかしてと思う気持ちがあったが……嫌な予感程、当たるモノは無いらしい。知られたくなかった、知られたくなんてなかった。自分の薄暗いところに、踏み込まないで欲しかった。


知られていたことへの焦りと後ろ暗さが顔に出ていたのか、春菜は湯呑を机に置くと心配そうに恒春の顔を覗き込んできた。やめてくれ、見ないでくれ。ほんの少し前まで浮かれていた気持ちは全て消え去り、今はただただ自分を見て欲しく無くて、覗き込む彼女を手で制す。


「……ごめん、見ないで」
「恒春….」


制していない方の手で顔を覆いながら、恒春は拒絶の言葉を吐く。顔を覆っているせいで見えはしなかったが、服の擦れる音から春菜が覗きこむのを止めてくれたことが分かった。


(……落ち着け、落ち着こう。突然こんな態度を取られて、春菜が困ってしまうだろ。落ち着くんだ)


落ち着けと何度も心の中で唱えると、恒春は覆っていた手を離し、春菜に向って下手くそな笑顔を作って見せた。


「….うん、大丈夫。変な態度を取ってしまってごめんね?」
「いいえ、謝らないで」


安心させる為か、殊更に優しく気にするなと言う春菜に恒春は何て返せばいいか分からなくなる。自分はこの優しい女神にここまでして貰う価値はあるのか、と。


(春菜はこんなオレをい、愛おしいって……そこまで評価される様な凄い人じゃないのに、ダメな奴なのに。
….でも、そんなこと無いって決定付けてしまったら、春菜の見る目が無いことになるよね。それは、ダメだ。絶対にダメ)


ではそんな優しい彼女が教えて欲しいと言っているのを、自分は無下にするのか? 思いやりを跳ね除けるのか? 恒春は己に問いかけた。


(出来る訳無い……いい、よね。話しても。ずっと抱えれる程、オレは強くないから。
ああでも、兄さんや芥子達の心配は拒否した癖に、オレは春菜の心配は受け取るのか。……ごめん兄さん、芥子、山茶花。えり好みしてごめんね)


胸中で地上に居る家族へ謝ると、意を決した恒春は春菜と向き直す。自分がどうするか考え込んでいる間も、彼女はじっと待っていてくれた。そのことへ感謝を覚えながら、恒春は自分の全てを曝け出す為に口を開く。


「オレは……—————————」






己の人生を振り返り、恒春は全て話した。醜い己の性根も、戦いに喜びを見出す異常さも、姉が死んでから理解する様な、死に怯える馬鹿らしい弱さも。全て全て、隠すつもりでいた何もかもをぶちまけた。


家族でも何でも無い所詮一度きりの逢瀬の相手だからか、はたまた彼女が同じ人の世界で生きていない別の生き物だからか、それとも自分が己の中で留めることが難しくなっていたからか。不思議に感じる程するりと、心中の泥達は自分の中から出て来てくれた。


「……そう。恒春、貴方は自分のことをそう思っているのね」


時に相槌を打ち耳を傾けて話を全て聞いた春菜は、全てしっかりと己の中に落とし込んだことを示す様に鷹揚に頷いて笑って見せた。
情けないことを話したせいで、失望を露わにされても可笑しく無いだろう。そう考えていた恒春は何故彼女がそんな態度を取るか分からず、首を傾げてしまう。
春菜は隣で不思議そうにしている恒春を見て、小さくくすりと笑った。そのまま視線を下ろし、自分の手と疑問符を浮かべている恒春の手を重ね、絡め合う。


「はっ?! え、な、なに……?」
「人間は、こうして触れ合うと安心すると聞いたことあがるわ。
どう? 落ち着いた?」
「落ち着くどころか心臓が飛び出そ……」
「そう? 離した方がいいのかしら 」
「あ、いや!? そのままのが嬉しいから!! そのままで!!」

強くこのままで良いと言う恒春の言葉に押され、春菜はその押しの強さに首を傾げながらも、繋いだ手を離さなかった。
自分の言動に恥ずかしさを覚えつつも、恒春は気持ちを切り替えさせてくれた春菜にお礼を言う。


「ありがと、確かに憂鬱な気持ちは吹き飛んだよ。
だからその、そのまま繋いでいてくれると嬉しい、かな……」


“その代わり凄くどきどきしてるんだけどね!!”と、繋いだせいでばくばくと鳴らす心臓の音と共に、恒春は内心絶叫する。自分はこんなにも単純な男だったのか。
己の指と絡み合うその手指は白く細く、ささくれも荒れも無い。少しでも力を込めたら折れるのでは無いか。そんな恐怖さえ覚えてしまう程、彼女の手は今まで見た誰の手よりも美しく華奢だった。


(芥子達の手と全然違う。神様だから、こんなに綺麗なのかな……)


まじまじと己の手を見ている恒春を見て、春菜は目を細めて笑った。自分の手がそんなに面白いのかとからかうと、慌てて何か言わなければとわたわたする恒春を見て、彼女はついに声をあげて笑い出した。


可笑しそうに肩を震わせる春菜に、恒春はそこまで笑わなくても良いのでは無いかと何処か不貞腐れた顔になる。
ひとしきり笑い終えると彼女は手を握る力少し強め、少し高い位置にある恒春の肩に寄りかかり擦り寄る。一方振り回され気味の恒春はと言うと、肩にのしかかる心地よい温度に対して大きく動揺し石像の如くびしりと固まった。


「は、春菜….っ!?」
「目映い」
「え……?」
「貴方は、目映いわ。恒春」


春菜は斜め上にある水色の瞳を覗き込んだ。発言の意図が分からなくて困惑している恒春に微笑みかけると、春菜は子守唄を紡ぐ様な優しい声で懇々と語り出す。


「私は木曽山脈の神として、今まで沢山の生命が私の中で育む姿を見守って来たわ。
それは動物や虫、植物や魚.…両の手では数えきれない程の命達が私の山で育ち、最後は土に帰っていった。勿論、人間だって何人も見守ったことがある」
「人間も….?」


オウム返しで出た恒春の言葉に、春菜はその通りだと頷いた。


「人間も、よ。ずっと、ずーっと見守ったわ。私という自我が産まれる前からも、きっと私は山と共に生きる生命を見守っていたのでしょうね。
薄っすらとだけど、私は大勢の命をと共に生きていたことを、自分を確立出来た瞬間から理解していたわ」


春菜は語りながら、そっと絡めた合った指を親指で優しく撫でていた。その動作と密着した体温にドギマギしそうになる。しかし理由は分からないが、彼女が話す内容を不思議と聞き逃してはいけない気がして、恒春は集中して言葉に耳を傾けた。


「そうやってずっとずっと色んな人間を何度も見ているとね、分かったことがあるの」


春菜は寄り掛かっていた肩から顔を上げて、恒春の顔を覗き込む。“一体何だと思う?”と軽やかな声色で尋ねてきた彼女に何と返せば良いか分からず、恒春はしどろもどろになってしまった。


そんな自分を落ち着かせる為なのか、春菜は繋いでいない方の手で恒春の頭を撫でて宥めかす。ただでさえ距離が近くて心臓が爆発しそうだった恒春は、突然のスキンシップに茹でタコの様に顔を赤くした。う、あ、と謎の単語しか発せなくなった恒春を見てくすくすと笑う。
一定のリズムで頭を撫で続けながら、春菜は子守唄の様に優しく言い聞かせるかの如く続きを口にする。


「時に川の様に、人間は様々な要因のせいで濁ったり凝ったりして、立ち行きいかなくなって燻ってしまうことがあるわ。
でも、それでもどろどろの心持ちでも、生きて命を繋いでいるとね?
人間は少しずつ上手に澱みを吐き出せる様になったり、そういう経験をしたからこそ深く美しい確固たる己を持てる様になる。勿論、皆が皆そうなれる訳では無いけれど……嫌で堪らなくなっても、泣き出したくなる位に失望しても、それでも諦めないで向き合おうとする子達は皆、目映い程に美しくて愛おしい」


恒春の肩から顔を上げて撫でる手を止めると、春菜は一拍置いて言った。


「恒春、今の貴方は濁ったり凝ったりしている最中なのよ。それを経ることで、きっと恒春は美しく逞しい人間へと成長するわ。
弱くていいの、楽しんでいいの、怯えていいの。私は貴方の感情を尊ぶわ。だってその感情を含めた全てが、私が惹かれた恒春の一部だもの。いつかきっと、恒春は今よりももっと素敵な人間になれるわ」


私はそう信じていると、彼女は眩しいモノを見る様な目で言った。
照れ隠しで春菜が撫でていた場所を少し触ってみながら、そういうモノなのかなと恒春は口にする。
自分は今の自分が嫌で仕方が無くて、気持ち悪いとすら思っているのに……こうも好意的に受け止められるなんて。少し、ほんの少しだけど。溜め込んでいた悩みを話したことで、春菜に自分の悩みを否定せず受け止めて貰ったことで、恒春は心が少しだけ軽くなったのを感じた。


「そういうモノよ。少なくとも、私はそう思っているわ」
「……そっか」
「ええ」


にこりと笑う春菜に釣られて、恒春は同じように口元に弧を描く。
……彼女が目映いと、美しいと、嫌に思っていたモノを肯定してくれるのなら。自分が嫌に思っている自分も、存在していいんだと安堵を覚えた。


(神様が、春菜が信じてくれたんだ。それなら、この弱さと一緒にもっと強くなりたいな。でないと信じてくれた春菜に悪いし。….燻ったままでいるのは、カッコ悪いよね)


恒春は心中で結論付けると今日一、いや、ここ最近で一番の憑き物が落ちたような晴れた顔になった。春菜は恒春のその変化を見て、どこか嬉しそうな表情へと変化する。
……ああそう言えば、聞いてくれた彼女にまだお礼を言っていない。


「春菜、ありがとう」
「ふふ、なんのことかしら? 私はただ、話をしただけよ」
「オレにとってはそれだけじゃ無かったから。だから、ありがとう」


晴れやかな笑顔を浮かべる恒春を見て、春菜は眩しそうに目を細める。
彼女は椅子から腰を上げると、不思議そうに見上げる恒春の耳元でそっと呟いた。


「こちらこそ、歩み寄ってくれてありがとう。恒春が交神相手で、本当に良かったわ。
これから一月、改めてよろしくね」


うん、よろしくね。顔を見合わせて、二人は軽やかに笑い合う。
最初は不安があったが、今ではそんな気持ちは微塵と無い。ああ、彼女を選んで本当に良かった。